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ガンバ大阪が7年ぶりとなる、ACLの準々決勝に進出!

高村美砂フリーランス・スポーツライター

AFCチャンピオンズリーグ、ラウンド16の第2戦。ガンバ大阪はアウェイでの初戦を1−3で勝利し、優位な状況で第2戦を迎えたが、この日も立ち上がりからゲームを支配。16分のFWパトリックのゴールで『先制点』をものにすると、前半終了間際にもMF倉田秋の今季初ゴールが飛び出し、2−0で前半を折り返す。後半は、相手にゴールを許しながらも危なげなく試合を進めたG大阪は、最終的にはFWリンスも追加点を奪って3−2で勝利。クラブ史上初めてACLを征した08年以来となるベスト8進出を決めた。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●長谷川健太監督

想像していた通り非常にタフな試合になったと思っています。選手にも「簡単な試合にならない」ということは話していて、今日勝つために全てを出して戦おうと話していました。本当に最後まで勝負にこだわって、勝利でベスト8進出を決めることができ、選手が本当によく頑張ってくれた。平日の夜であるにも関わらず、たくさんのサポーターもたくさんきていただいて非常に大きなパワーをいただいたと思っています。

ー第一戦を3−1で勝ったことが影響しましたが、逆にそれが難しかったと思います。そのあたり、選手にはどのように働きかけてこの試合に臨まれたのでしょうか。

本当にたくさんの言葉は選手にかけていません。先ほど言ったように簡単な試合はない、と。昨日の柏の試合を見た人も、見ていない人もいるだろう、と。細かいことをいっていろいろ計算しても仕方がないので、この試合に勝つことだけに集中させたいと思って送り出しました。選手も十分にこういう状況を十分に分かってプレーしてくれたと思いますので、そういう意味では私が細かく何かを言うよりは、選手たちが本当に自分たちでそれを感じてピッチで表現してくれた結果、ホームでしっかりと勝って次のラウンドに進む事ができたと思っています。

ー倉田選手の今日の出来と、第1戦も途中から出て流れを変える動きをしましたが、2試合を通しての倉田選手の評価を聞かせてください。

今日も素晴らしいプレーをしてくれたと思っています。やっぱり長い距離を何回も走って、なかなか彼のところにボールが出て来ないシーンもこれまでの試合でもありましたが、今日も信じて、ゴール前に、あそこに走り込んだ結果、秋のところにボールが転がって来たと思います。第1戦も後半から出場してチームにリズムを与えてくれたと思っていますし、今日も攻撃でも守備でも素晴らしいプレーをしてくれたと思っています。

ー終盤に堂安選手を起用しました。将来のガンバを担う選手だと思いますが、起用の意図を聞かせてください。

これからを期待してあの時間帯にきりました。ただ、試合の途中経過が2−1ではなかなか難しいと思ってみていましたし、藤春の足の状態も少し気になっていたので、もう少し様子をみながら3点目が入らないかなと思っていました。3点目が入って試合もほぼ決まったということで彼をいれましたが、彼は練習でも、非常にアグレッシブに、また、存在感を示してくれるプレーをしていて、使ってみたくなるようなトレーニング、プレーをしてくれていますので、そう言う意味では今日、あのゴールを決めていれば出来過ぎかなというところでしたが、短い時間ですがこれを経験にしてこれから更に大きな選手になってほしいと思っています。

ー藤春選手の足が気になっていたという話でしたが、米倉選手を交代したのは状態が悪かったのか。右サイドバックに丹羽選手を置いた意図を聞かせてください。

米倉も体調が万全ではない中でのプレーだったと思います。本人は結構、気丈というか、強いプレーヤーなので、決して痛いというような発言をする選手ではないので、本人に聞けば、おそらく大丈夫です、というはずですが、傍から見ていると若干痛そうだな、と。あと、中2日でJリーグもありますし、米倉、藤春ともになかなか代えがきかない選手ですから。オ・ジェソクもケガをしていて、いまはリハビリも終わってトレーニングもしていますが、そういう状態を考えると、引っ張るよりは、と。ソウルも後半になって大きな選手を前に2枚はりだして、4トップのような形で、特にうちの左サイド、向こうの右サイドから対角にボールを入れてくるようなプレーが増えたので、日本代表でも右サイドバックをやっているそういうボールもしっかり、弾いてくれるだろうという期待もありました。また、セットプレーでも迫力ある選手がソウルに多いので。そういう意味では正也も、予選からずっと難しい状況の中でもしっかりプレーしてくれて、結果も出し続けてくれている選手なので、高さという部分で、しっかり弾くという狙いもあって、右サイドバックに丹羽選手をおきました。

ー1戦目の結果を受けて、前半2−0で折り返した、と。かなり優位な状況で後半を迎えましたが、後半、どんな風に試合の終わらせようと考えていましたか。

前半の倉田の2点目は非常に大きかったとと思っています。相手が4点とらなければいけない状況を作ったのは非常に大きかった、と。ただ、残り45分ありますし、しっかりとゲームをおわらせることは次の試合につなげるためにも大事なことなので、選手たちにはハーフタイム、もちろん3点目を狙いながら、きちっとボールを動かして、きちっと時間を作るところは作ろう、と。本来はゼロでおさえられれば良かったですが、後半ソウルも非常にタフに戦ってきて難しい試合になりましたが、しっかりと勝ち切ったというのは大きかったと思います。

●MF倉田秋

想像していた通りの苦しい試合でしたが2試合とも勝って、次に進めることを嬉しく思います。ただ、僕たちの目標はまだまだ終わらない。もっと精進して次も勝てるように頑張って行きたいと思っています。

ー浦和戦以来の先発で、今季初ゴールでした。率直にその感想を聞かせてください。

正直、苦しかったというか、本当にチームに貢献できないもどかしさがずっとあったので、今日、スタメンで使ってもらって、絶対に結果を残してやろうとスタートしました。その中で、1点しかとれてないし、まだまだ満足できる訳ではないと思いますが、このゴールがいいスタートにしたいし、これからもっとチームに貢献できるようになればいいなと思っています。

●DF丹羽大輝

(先制点を奪ってどんなことが頭をよぎりましたか)正直、僕は決まったなという思いはありました。試合前にも「1点目が全て」という話はしていましたし、実際にそういうイメージでやっていたので、1点とれればこっちの試合になると思っていました。相手の状況を考えた時に先制点をとれたら、どれだけダメージがあるかというのも分かっていたので。1点目をとれた時点で…獲る前から落ち着いていましたが、とったら、さらに落ち着きが出たというか。相手は攻めるしかないし、実際に必死でしたしね。リスクを犯してとらざるをえない状況を作ったのはあの1点目だったと思うので。あの1点目が今日の試合の全てだったと思います。

ー途中で右サイドバックにポジションをかえましたが、監督のメッセージをどのように受け取っていましたか?

メッセージは特にないです。単純に正也が入って来て、右、って言われただけです。ただ相手がパワープレーをしてきたので、守備ではヘディングというところを仕事で求められていたと思うし、攻撃はタイミングよくあがっていければというところだったと思うので。(最後のリンス選手のゴールシーン、左にいて藤春選手にボールを出しましたよね?)あれは、コーナーかFKかなにかのカウンターで、もった瞬間にダッシュでバ〜っとあがっていって、その後ろからハルもあがってきていたので、いいタイミングで出してあげれたらクロスをあげれるかなと思って。ハリルの教えですね。

ー前半を2−0で折り返した。試合の終わらせ方としてどんなことを考えながら後半をプレーしていましたか?

1失点目も2失点目もチームとしてやることさえやっていればしっかりと守れていたと思うので。ゼロでおさえられていたら、一番良かったというのが理想の展開でした。でも次への課題というか、今年はクロスからの守備で殆どやられていなかったので、それでやられたというのは僕としてはノーで、あまりよくないことだと思うので。でもそこはもうセンターバックとボランチのポジショニングで防げたところだと思うので、次への課題が出たので、次はしっかり修正しないといいけないと思います。

●FW宇佐美貴史

(1点目のアシストはイメージ通りですか?)感覚で適当に蹴りましたけど、パトリックは細かいパスのやり取りは少ないけど、見なくても、いて欲しいところに何となくいてくれるので。フィーリングはあっているので。最近はああいうパトリックへのアシストが減っていたので、パトにもああいうゴールをとって流れを作ってほしいと思っていました。僕自身もああいう感覚は続けていきたいと思います。

ー堂安選手のデビューについて。

早く1〜2点とって、勝っただろうという流れを作ってあげたいと思っていた。十分、いま、トップでもやれている選手なので。僕の記録は塗り替えられましたけど、早くデビューさせてあげたかった。タイプは違いますが、僕が17才の時よりも完成度は高いと思います。日頃の練習からポテンシャルをみせているし、1本くるぞ、というのも伝えていました。あれを決めていればもっと良かったけど、まだまだ先もあるので。

ー先制点について。

あれで試合を終わらせる事ができたと思います。

ーチーム力はついてきていると思いますか?

今日は負ける気がしなかった。うちのほうがクオリティは高かったし、今日も2失点したけど、トータルで6点もとれて勝てたので。

ー08年から16強で負け続けていましたが、ようやくその壁をやぶれましたね。

ベスト8でもベスト4でも、決勝でも負ければ同じ。てっぺんまでいかないと意味がない。(ハリル監督へのアピールにはなりましたか?)ゴールを獲れていないのでアピールにはなっていません。ただチームが勝てたので。それは唯一よかったのかな、と思います。

●DF藤春廣輝

(3点目のアシストについて)リンスがいいところに入っていたし、普通に見えていました。いいところにうまくボールを蹴ることができました。(クロスボールについて掴んできたことがあるのでは?)しっかり中が見れていたのが大きいと思います。クロスをあげるときに余裕があったので。(2点目のボール奪ったシーンについて)今までハリルさんから球際のことを言われていたので、ここで獲れたらチャンスになると思っていました。(足は大丈夫ですか?)今日はサッカー人生の中で一番きつかったです。でも結果を残さないといけないと思っていました。

●MF堂安律

デビューできたのはうれしいです。(試合前)宇佐美くんにはいっぱい声をかけてもらっていました。憧れの先輩でもあるので心強かった。「前半で1、2点とったるから、準備しとけ」って言われていました。本当にその通りになったから、びっくりしました。(最後のチャンス、決めたかったですね?)あのチャンスは決めたかったです。持ってないですね(笑)。こんなに早くデビューできると思って思っていなかった。デビューできたことに自分の中では感動していました。ただ、ピッチに立ったら、できる自信はありました。もっと期待される選手になりたいし、これから楽しいサッカーをみせられる選手になっていきたいと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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