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<ガンバ大阪>ACLプレイオフを完封で勝利し、本大会への切符を掴む。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

3年連続となるAFCチャンピオンズリーグへの出場権を賭け、同大会の大陸間プレイオフに臨んだガンバ大阪は、マレーシアのジョホール・ダルル・タクジムをホームの地に迎える。初の公式戦ということもあり序盤はややスムーズさを欠いたものの、徐々にペースをつかむと、26分にエースFWアデミウソンが先制点。さらに3分後にはFW長沢駿が追加点を奪い、前半のうちに2点のリードを奪う。後半もガンバペースで試合を運ぶ中で、70分にはセットプレーから新加入のDF三浦弦太が頭であわせ3−0。その後も危なげなく試合を進めて完封勝利を飾り、3年連続となるACL出場を決めた。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●長谷川健太監督

まず本戦に出場を決めることができてホッとしています。なかなかお互いに対戦したことがない相手で、お互いにやりづらかったと思いますがそういう中で、ペースをつかんで、先制点をとることができて、前半のうちに2点をとることができたのは良かった。もちろんミスもありましたが、非常に切り替えが…この時期にしては非常にアグレッシブに、戦ってくれたし最後まで集中を切らさずにプレーしてくれた。ただまだ細かいミスはありますので、さらにトーレニングをして、あと2週間後には本戦が始まりますので、またきちっと準備していきたいと思います。

ー既存の戦力プラス、センターバック二人に新しい戦力が加わりました。彼らの評価を聞かせてください。

連携面で何回か危ない場面があるかなと思っていましたが非常に落ち着いて対応してくれていた。今日は、ジョホールの攻撃がさほどゴール前で…波状攻撃のような形で作られることはなかったので無難にプレーしたと思います。その中でファビオにしても弦太にしてもまた新しい色というか、形といったら変ですが、いい攻撃のスイッチをいれてくれていた。これについては、昨シーズン、少なかった部分なので、三浦の広角の長いボールだとか、ファビオのバイタルにつけるボールにしても彼らの良さは出た試合だったと思っています。あとセットプレーで三浦がああいう形でとってくれたのもチームにとっては武器になるんじゃないかなと思いました。

ーこの時期にこういう試合をやらなきゃいけないのは大変だったと思います。監督としては一番、ポイントはどこだったんでしょうか。

90分やれるチーム、フィジカルの部分と、それはフィジカルコーチと、プレイオフになったらどうしようかという話をして、非常にいいスケジュールを組んでくれたんじゃないかと思っています。チーム作りに関しては決めうちで作るしかなかったというか。そういう意味ではベンチメンバーには少し迷惑というか、負担をかけてしまったトレーニングになった部分もありましたが、そういう意味ではこれからまた二週間ある中できちっとチームの中の競争というところにまた刺激を入れていきたいと思っています。非常に難しい…1つの挑戦でしたけど、選手たちもしっかり理解して試合の重要性というか…負けたら本戦に出れないということもしっかり感じて、きちっとオフ中も体を動かしてくれてきていましたし、そういう色んな要素がなければ今日の試合を勝利することはできなかったんじゃないかと思います。

ーいよいよ本戦になりますが、昨年までの経験を生かして、本線を勝ち抜くために必要なことは?

まずしっかりとしたチーム作りをしてかないといけないな、と。本当にアジアのレベルは非常にあがってきていますし、しっかりとした準備、戦いというところをきちっと整えて準備をして臨みたいと思います。その中でもJのチームが圧倒するというか、イニシアチブもって試合を運ぶというのは、ACLでは不可能だと思いますので、そういう概念は捨てて、本当に厳しい戦いが始まるという覚悟を持って臨まないとなかなか勝ち上がることはできないんじゃないかと思います。一昨年はベスト4までいくことができましたが、去年は1試合も、1勝もできないという悔しさを味わったのでそいう経験を生かして、今シーズンのACLにのぞみたいと思っています。

●MF倉田秋

結果が出せたのは良かったですが、ここが僕たちのゴールじゃないし出れたからそれでいいわけじゃない。本戦でもいい結果が出せるように頑張っていきたいと思います。

ー背番号10を背負って初の公式戦、自分のプレーについてはどう感じていますか。

アシストもしてないしゴールも決めてないので良かったとは言えない。10番つけるからにはチームを勝たせる結果を出さないといけない。そういう意味では今日は満足していないです。

ー去年は序盤の試合で決定機を決めきれずに苦戦した。今年はしっかりそれをゴールに収めるところからスタートできましたね。

本当に、いつも決められなくてズルズルいく試合が多かったですが、今日はアデが最初の1チャンスで獲ってくれたのが大きくて、それでみんなも力みがとれていつものプレーができたので、本当にあの1点は大きかったと思います。

ー去年までとは違うやり方をしている中で、倉田選手自身も役割違いますが手応えは?

去年の天皇杯からやり始めてだいぶ体が覚えてきた。より攻撃的にいくということでやってきて3点取れたのは良かったですが、まだ完成していないというか突き詰めていかなければいけないと思うので、これからより極めていきたい。手応えはあります。

●DF三浦弦太

ー相手チームは、最後のところはそこまで怖さはなかったですが、どんなことを意識しながらプレーしていましたか?

相手の特徴はクロスだったり、スカウティングで聞いていたので、そこは十分に注意しながらやりたいなと思っていたのと、前半は相手の11、10などドリブルではがせる選手が前半で見えたので後半はそこを意識しながら守備できたと思います。(点まで取れて出来過ぎですか?)そうですね。出来過ぎたデビューでした。ゴールはU-22選抜として出場したJ3ではありましたけど、J1、J2ではなかなか取れなかったし、デビュー戦で取れるとは思っていなかったので、嬉しいです。みんなにはナイスゴールと声をかけてくれて、チームにとっても大きな1点だったので、良かったです。

ーセットプレーでゴールを決めましたが、その1つ前のセットプレーの時に遠藤選手とコミュニケーションをとって、ボールの要求などのやりとりがあったのかなと思いますが。

そうですね。自分のマークが外れやすかったので、ここに入るのでということを伝えていいボールを蹴ってもらいました。(言ったタイミングでは決められなかったけど、その次のタイミングで決めた。動きに工夫はしたのですか?)1本目は自分としてはファーに離れてから崩してから動いたんですけど、2本目は駿くんのブロックを、相手のブロックを一度してから…特に意図的に動き出したわけじゃなかったですがいい質のボールが来て、しっかりヘディングでさばけたかなと思います。

ーこのスタジアムでプレーをして感じたことは。

すごくいい雰囲気のスタジアムだしサポーターの皆さんの声もよく届くので今日も素晴らしい雰囲気の中でプレーできたことを嬉しく感じました。

ーファビオと関係、東口選手との関係性は?

試合中にしっかりコミュニケーションをとりながら、ファビオはこういう特徴を持っているという、僕は彼の特徴をある程度練習や試合で、こういうことをしたいんだなと感じていたので、そこはうまくお互いに…言葉を交わしながらお互いに良さは出せたと思います。彼は日本語でもある程度はコミュニケーションがとれますし、じゃなかったとしてもお互いの感覚というかそういうのであわせられたかなと思います。

●MF遠藤保仁

本戦というか、プレイオフを勝ち進むというのが合宿からの当面の目標だったのでそれをクリアできてよかったし、これで次はアデレードの試合に集中して、またいい準備をしていきたいと思います。

ー新しいシステムへの手応えは?

結構押し込む展開が多かったので、ものすごく大きな問題は出なかったですが、まだまだよくしていけると思います。またこれから課題も出ると思うので、またそこを修正して、1つずつ潰しながらまた新しい良さを出していければいいと思います。(今日の試合で見えた修正したいところは?)やっぱりカウンターを受けやすいシステムなので、簡単なボールロストはしないほうがもちろんいいし、サイドチェンジをされた時の対応の仕方もまだクオリティをあげられると思うので、そのへんはよりよくしていきたい。

ーセットプレーのボールもドンピシャでした。

昨年より結構ターゲットが増えているので蹴る方からしたら蹴りやすいし、ファビオも弦太も打点が高いのでいいボールさえ蹴れればセットプレーでも得点をあげていけるかなとは思います。(あのボールの弾道もしかり、裏に出すボールもしかり、精度があがってきたのかなと思いますが)まだまだ僕自身はあげていきたいと思っていますし、たくさんボールに触らなきゃいけないシステムなのでうまく起点になりながら、ナイキのボールもずっとやっている分みんな慣れてきているけど、またこれがJリーグと併用しながらだとまた感覚が変わってくるところがあるのですが、ACLのボールだとあれくらいの精度のボールは蹴れたらいいなとは思います。

ーセンターバック二人が新戦力でしたが連携は?

今日に限っては、そんなに問題はなかったですが、クオリティのあるチームになればまだまだ直さなければいけないこともある。初めてにしては十分ですが今日でまた確認するところも見つかったし、日々よくしていかなければいけない。試合中も今日は声をかけあいながらやれていたので、続けてやっていきたいです。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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