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昨季苦しんだ故障も回復し、Bリーグ屈指の点取り屋として、持ち味を発揮している金丸

青木崇Basketball Writer
日本人で唯一平均得点でトップ10に入る金丸 写真提供:(C)B.LEAGUE

2連勝後の3連敗でアイシン(現シーホース三河)がNBL2連覇を逃したとき、金丸晃輔はシーズンを通じて悩まされたアキレス腱の痛みが限界レベルに達していた。その後、ベオグラードでの五輪最終予選に出場する日本代表候補になったが、本来の実力を発揮できる状態でなかったために、世界レベルとの戦いに挑む機会を逃した。それでも、オフの間にアキレス腱を回復させた結果、Bリーグ開幕から試合を積み重ねていくと同時に、本来の力を発揮する機会も増えている。

写真提供:(C)B.LEAGUE
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「アキレス腱に関しては去年よりも結構いい状態なので、治療というより他の部分を鍛えることがリハビリという感じでやってきている。今も継続中。下半身強化をやりつつということで、それがシュートにたまたま結びついているだけで、あと気持の面もうまくシュートにつなげている感じです」

こう語る金丸は、11月20日の京都ハンナリーズ戦で5本の3Pシュートを含む35点と爆発するなど、11月5日からの8試合で平均22.8点をマーク。12月4日の栃木プレックス戦を終えた時点での平均18点はリーグ8位で、日本人選手で唯一トップ10に入っている。とはいえ、金丸自身は現状に決して満足することなく、NBLファイナルで実感したクリアしなければならない課題が残っていることを、栃木戦で改めて認識させられた。3日の対戦は24点を奪って勝利の原動力になったが、翌日は熊谷尚也と須田侑太郎の激しいディフェンスに12点。4Qで1点も取ることができず、チームも試合に競り負けたのである。

「正にボディブローですね。ボールを持っていないところでも、必要以上に体を当ててくるんですよ。コンタクトされる分、体力の消耗も激しい。ディフェンスがしっかりしているチームは、そういうことをやってきますね。去年のファイナルだって東芝さん(川崎ブレイブサンダース)にやられて、最後の方でちょっと体力を奪われてしまい、本来のプレイができなかった。もうちょっとどうにかしないと、次には進めない。あのファイナルでやられたことを今シーズン克服できるようにやっていたのですが、また今日も同じようにやられたので、まだまだですね」

写真提供:(C)B.LEAGUE
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金丸が掲げる課題をクリアするためのカギは何か? それは、ボールを持っていない局面での動きだ。最近の金丸はNBAの映像を見ながら、自分のモノにしようという取り組みをしている。

「止まってていきなりスクリーンを使うと、(相手も)わかっているじゃないですか、スクリーンを使うことは。それをどうやってかわすかをずっと考えていて、NBA選手とかを見ていても、ずっと動いているんです。動きの中でスクリーンをうまく使っているので、それを勉強しようと思っているんです」

このようなプレイの質を上げられれば、ボールのないところでファウルがもらえる回数は増え、相手のチームファウルがペナルティならば、高確率で決められるフリースローで得点を稼げる。レジー・ミラー(元ペイサーズ)とリチャード・ハミルトン(元ピストンズ)は、このようなプレイスタイルを武器にオールスターとなったNBA選手の代表例。特にハミルトンは金丸同様、骨折した鼻を保護するためにプロテクターを顔に着用してプレイしていた。「ディフェンスのときに横が見えないので、ずっと首を振っていなければならない」とプロテクターで視野が狭くなるマイナスをこう話す金丸だが、絶対の自信を持つシュートへの影響はないという。それは、40.9%という3Pシュート成功率でも明らか。アキレス腱の痛みがなくなり、スコアラーとしての持ち味を存分に発揮していることからすれば、金丸は完全に復活したと言っていいだろう。

写真提供:(C)B.LEAGUE
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Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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