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イースト・アジア・クラブ・チャンピオンシップをきっかけに、BリーグとKBLの交流戦増加に期待

青木崇Basketball Writer
川崎戦後取材に応じるKGCのキム・チョルクとムン・ソンゴン(筆者撮影)

「日本と韓国の交流が深まって、アジアのバスケットが高まればいいですし、KBLのコミッショナーも中国なども入ってきて盛り上がればと言っていましたので、クラブで真剣な戦いをすることによって、代表の強化にも恐らくつながっていくじゃないかなと感じています」

1月14日に行われたイースト・アジア・クラブ・チャンピオンシップの試合後、KBLの安養KGCと対戦した川崎ブレイブサンダースの北卓也コーチはこうコメント。今回、KBLの事情とBリーグとしての準備期間が十分でなかったために、昨シーズンのNBL王者がKBL王者と対戦することは実現しなかった。それでも、代々木第一体育館に5447人が駆けつけたことからすれば、この試みは良かったと思えるし、北コーチの言葉にも賛同できる。

幾つかのKBLのチームは毎年プレシーズン中に来日し、日本のチームとスクリメージを行うことが恒例となっている(昨年は7チームが来日)。しかし、以前開催されたbjリーグ王者とKBL王者の対戦を除くと、日韓のチームが対戦する試合やスクリメージは基本的に非公開。栃木ブレックスが昨年9月に高陽オリオンズとプレシーズンゲームを開催したものの、安養が川崎とアルバルク東京相手にスクリメージを行ったことは基本的に知られていない。今回のイースト・アジア・クラブ・チャンピオンシップをきっかけに、BリーグとKBLの交流がより深まれば、プレシーズンの非公開スクリメージを観客を入れたプレシーズンゲーム開催に変えてもいいはず。川崎戦で13点、4リバウンド、4スティールを記録した#10のムン・ソンゴンは、次のようにコメントしている。

「今回もそうですけど、プレシーズンもレギュラーシーズンのようにファンがいっぱい入ったほうが、すぐシーズンのゲームに適応できるので、そういった雰囲気でやってくれたほうがいいと思います」

プレシーズンゲームは、チームのやりたいことを試す場としての要素が勝敗よりも強くなりがちだ。しかし、普段見ることのできないチームとの対戦であれば、1500人程度の集客は十分可能ではないか? 非公開のスクリメージでなくプレシーズンゲームを行うメリットとしては、チケット販売で得た収入の一部を相手の遠征費用としてカバーしてあげられるのも一つ。Bリーグのチームが韓国に渡って試合をする場合も、同様の対応を取る形にできるだろう。

アメリカではこんな事例がある。NCAAの強豪校は、所属するカンファレンス以外のチームとシーズン序盤にホームで対戦する際、相手の遠征費用を全部カバーするだけでなく、収入として計上できるだけのギャラを払っている。それができる理由は、ホームゲームを開催することで得られる金額が大きいから。無名校や弱小校がNBA選手を数多く輩出している大学に遠征すると、1試合戦うだけで1000万円以上の収入を得られるといった事実もある。

NCAAの強豪校みたいなことを日本でやるのは、正直なところ難しいだろう。ただし、BリーグとKBLのチームによるプレシーズンゲーム開催は、ビジネス面でいい方向に進む可能性を秘めている。もちろん、オンコートでのレベルアップにつながるのは、ムンが「プレシーズンでは大きく負けて帰ったけど、今回接戦したことはいい経験になった」と話したことでも明らか。来シーズン以降、BリーグとKBLチームによるプレシーズンゲームが定期的に開催されることを期待したい。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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