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詳細解説:海外ネットカジノ利用者に逮捕状請求

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

さて昨日、京都府警が海外ネットカジノ利用者に逮捕状請求したという第一報から一夜明けまして、国内のネットカジノコミュニティは大混乱の模様であります。本件に関してずっと追及を行ってきた僕に対して罵詈雑言を投げている人もいるようですが、本当に憎悪を向けるべき対象は「海外ネットカジノに国内法は及ばない」として集客をし続けて来た業者&そのアフィリエイター達と、それを妄信してしまった己自身なのではないでしょうかね。

僕は「今まで摘発事例がない=適法」ではないという非常に当たり前のことを当たり前のように主張し、またそれを論証付ける為に議員事務所を通じて質問主意書を投げて政府の公式見解を引き出すなど、研究者として出来ることをコツコツと続けて来ただけ。この辺に関しての詳細は、以下のリンク先をご覧下さい。

ファイナルアンサー: オンライン賭博は違法である

http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8134166.html

今回摘発の対象となったのは、英国に本拠を構えるスマートライブカジノというネットカジノの利用者3名。youtubeに以下のようなプレイ動画が上がっていますが、ライブカメラを通じてディーラー役を務める女の子と会話をしながらギャンブルをする形式のもので、印象的にはオンラインカジノとオンラインキャバクラの「合いの子」みたいなサービスでしょうか。英国のギャンブル委員会から「SMART TV BROADCASTING Ltd.」という名称でオンラインカジノ業者としての正規ライセンスは受けているようです。

ただ、そのサービス内容はというと、一応おざなりに英語サイトはあるものの完全に日本語利用を主として想定したものです。

報道によるとこの辺りを京都府警が悪質として判断して捜査に動いた模様ですが、今回、摘発を受けているのは利用者側だけとなっており、利用者側の摘発から証拠を集めて実態解明を行い、業者側の立件可能性を探るといった手順なのだろうと想像しています。既にこの2月には海外ネットカジノの決済機能を国内側で担っていたとされる業者の逮捕は別の事案で行われていますし、それとは別にアフィリエイトのような形でネットカジノのマーケティング機能を担っていた者達が国内側に居るのだとすれば、それもまた捜査の対象になってくるものと思われます。詳細は以前書いたことが有りますので、以下のリンク先あたりをご参照ください。

海外に拠点を置くネットカジノ、国内初摘発

http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9175928.html

日本社会に忍び寄る、違法ネットカジノ

http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9148882.html

今回の摘発は、海外のネットカジノに国内から接続して賭博を行ったプレイヤーに対して単独で単純賭博容疑をかけ非常にシンプルに逮捕状の請求にまで至ったものですから、業者側がライブカジノであったとか、イギリス本拠であったとか、日本語サイト中心であったとかという個別の特殊性は基本的に罪状に影響を与えないもの。逆に言えば、その他のネットカジノの利用者にも同様の単純賭博が適用できるということになりますので、その辺りはキッチリと理解した上で国内ネットカジノ・コミュニティにご在籍の方々は身の処し方を考えた方が良いものと思われます。

そして最後に:

私自身、この言葉を発するごとに、どれ程のナンセンスな反論と事実無根の誹謗中傷を受けて来たか。。ウンザリする部分もあるのですが、改めて以下を明言させて頂きたいと思います。

「例え海外に拠点を置くカジノであっても、国内からそれを利用し賭博を行うことは違法です」

この点、改めてよろしくお願い申し上げます。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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