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オーイズミ<6428>はカジノ関連株じゃない

木曽崇国際カジノ研究所・所長

一体、なんど同じこと言えば理解するんだという事案について。以下、株式情報サイトKabutanより。

秋に向けたテーマ株「カジノ関連銘柄」を再点検=向後 はるみ

http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201608180160

実際にカジノの誘致が日本において可能か否か。その議論は大いにあるものの、臨時国会が近づくにつれ、このようなニュースが報じられることがあれば、短期資金は関連銘柄へ流入するだろう。まずは、7月の都知事選時のカジノ関連銘柄への物色で、反応が大きかった銘柄からチェックしていく。

21日、22日に2営業日連続でストップ高をつけたのは、パチスロ周辺機器のメダル計数機国内最大手のオーイズミ<6428>、カジノの決済システムを手掛けるテックファーム <3625>。

21日にストップ高をつけたのは、米国カジノ向けのシェアが大きい金銭関連機器の大手メーカーで、紙幣識別機や硬貨計数機等の貨幣処理機などを展開している日本金銭機械<6418>、パチスロ大手でフィリピンでのカジノリゾートを推進するユニバーサルエンターテインメント<6425>だ。翌22日にはピーアークホールディングスや、パチスロ大手サミーを擁するセガサミーホールディングス<6460>が大株主に名を連ねるインターライフホールディングス <1418>がストップ高となった。

国会でのカジノ法案審議に期待が集まり、オーイズミ、テックファーム、日本金銭、ユニバーサルなど国内カジノ関連株が連日のストップ高とのことですが、皆さん、この中にニセモノが紛れ込んでいますよ。そうです、オーイズミです。

オーイズミは、パチスロ周辺機器であるメダル計数機製造の最大手として、かねてよりカジノ関連株だと国内証券市場では認知されてきているワケですが、大変申し訳ないですけどメダル計数機とカジノは全くリンクしないですよ。

現代のカジノで利用されているスロットマシンには、TITO(Ticket-in Ticket-out)と呼ばれるシステムが標準装備されております。これは、かつてお客様がコインをジャラジャラと投入して遊んでいたものを、バーコード印字された疑似的な金券(チケット)で代用しましょうというものでありまして、お客様にとっては大量のコインを持ってカジノ内をウロウロする労力を減らし、カジノにとっては管理上の効率化を実現したという業界にとっては非常に画期的なシステムであります。

即ち、我々が国内のパチンコ店で見かけるような、プレイにあたってメダル(カジノの場合は貨幣)を大量に使用するようなゲームというものは現代のカジノにはほぼ存在しないワケで、当然ながらそれらメダルを「数える」機械(=メダル計数機)などというものはカジノでは一切使用されていないのです。そこにオーイズミが商売できる余地はありません。

ところが、いつの頃からかどこぞの証券アナリストが「メダル計数機大手=カジノ関連」などという意味不明なレッテルを貼りまして、それ以降、なぜか国内カジノ合法化への期待が高まるたびにオーイズミの株価が爆上げするという不思議な現象が始まりました。誰ですか、最初にそんないい加減なレポートを書いた証券アナリストは(実はそれが誰かは僕は知ってる)

ということで、念押しの為に昨年8月に行われましたオーイズミの定期株主総会での大泉秀治社長によるコメントを見てみましょう。

オーイズミ第47回定時株主総会

http://aruze777.blog.so-net.ne.jp/2015-08-30

■質問者:株主さん

株価の乱高下について、どう考えているのか?

■回答者:大泉社長

オーイズミはカジノ関連株と認識されているらしく、ここ数年はカジノが話題になると上下に動きやすいと感じている。ただ、カジノ事業は一切やってないため、業績を見てもらいたい。

皆さん、社長自身がこう言っていますよ。ということで「オーイズミはカジノ関連株ではない」でファイナルアンサーです。以上、よろしくお願い申し上げます。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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