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「いまの自分にできないことないと思う」徳島インディゴソックス・増田、巨人と入団交渉合意

高田博史スポーツライター
入団契約交渉を終え巨人・渡辺政仁スカウトと握手を交わす増田大輝(徳島IS)

16日、四国アイランドリーグplusよりドラフト指名(育成枠含む)された6選手のうち、徳島インディゴソックス・増田大輝内野手(近畿大中退)が巨人との仮契約に臨んだ。

契約交渉は徳島市内のホテルで午後3時より行われ、支度金300万、年俸240万(金額はいずれも推定)で交渉成立となった。背番号は「015」。

「いまの自分にできないことないと思います」

ジャイアンツの帽子を初めて被り、中島輝士監督(徳島IS、元日本ハムほか)に「似合ってるよ!」と声を掛けられた。

「ちょっと安心しました。似合ってないと言われるよりは」

硬かった表情が、少し緩んだ。

アイランドリーガーのなかでも、増田大輝はとりわけ「グラウンドには銭が落ちている」という言葉を地で行く選手ではないだろうか。今春入籍し、9月に長男・陽太(ひなた)君が生まれている。まだ22歳だが、一家の大黒柱でもある。

「NPBに行って、嫁と子供にメシを食わせる」

自分自身にそう言い聞かせて走り続けた今シーズンだった。まずは育成選手として年俸240万円(推定)からのスタートとなる。

「1軍登録されれば1千万とかに額が上がる。やっぱりお金を稼ぐうえで、家族にご飯を食べさせていかなきゃいけないなと思っているので。少しでも早く支配下登録されたいなと思います」

「まさに『グラゼニ』だね」と声を掛けた。

「そうですね。独立リーグで培ったハングリー精神を忘れずに、プロでも『上に、上に』って気持ちをもって、やって行きたいなと思います」

育成選手と言えども、立派なジャイアンツの一員だ。「巨人」の看板はもちろん「アイランドリーグ出身」の看板も背負う。プロ野球選手として、その名に恥じないように。

大学を中退し、一時は野球をあきらめかけながら、とび職をしていた経験もある。いろいろな人の協力のおかげで野球を続けて来られた。故郷のチーム、徳島ISでプレーできた2年間は大きな宝物だ。

土田瑞起(長崎セインツ‐愛媛マンダリンパイレーツ‐巨人育成から支配下登録)、亀澤恭平(香川オリーブガイナーズ‐ソフトバンク育成‐中日)など、育成選手から支配下登録され、さらに1軍へと這い上がって行った元アイランドリーガーはたくさんいる。

「上に行って、まだ野球できる。3軍だけでは終わりたくないので。支配下登録もされて、自分が1軍のグラウンドに立って。東京で、ドームでプレーするところを考えるとワクワクするので。いまの自分にできないことないと思います」

そんな力強い言葉を残した。

まだチャンスはある。少年時代から憧れ続けて来たプロ野球選手になった。次の大きな目標をかなえるため、新たなスタートを切る。

自分が守るべき、家族を食わせるために。

増田大輝(ますだ・だいき)内野手

1993年7月29日生まれ、22歳。徳島県出身。小松島‐近畿大中退‐徳島IS(14年~)巧打の二塁手として存在感を発揮。守備において球際での安定感と、走塁スキルの評価が高い。巨人より育成1巡目指名を受けた。67試合に出場。打率・209、14打点、1本塁打、18盗塁、41得点(1位)。右投げ右打ち。172センチ、62キロ。背番号6。血液型A。

スポーツライター

たかた・ひろふみ/1969年生まれ。徳島県出身。プロ野球独立リーグ、高校野球、ソフトボールなどを取材しながら専門誌、スポーツ紙などに原稿を寄稿している。四国アイランドリーグplus は2005年の開幕年より現場にて取材。「現場取材がすべて」をモットーに四国内を駆け回っている。

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