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JABA四国大会、四国アイランドリーグから参戦の徳島、初の1勝。決勝トーナメント進出はならず

高田博史スポーツライター
アイランドリーグにとって初の1勝(11日、JAアグリあなんスタジアム)

2016.4.11 第45回JABA四国大会

予選リーグDブロック ツネイシ 1-4 徳島インディゴソックス【JAアグリあなんスタジアム】

徳島IS 003 001 000|4 H5、E0

ツネイシ 100 000 000|1 H4、E2

バッテリー

徳島IS 木下、山藤、橋本(隼)‐垂井

ツネイシ 小野、岡村、堅田、河合‐筒井

本塁打

徳島IS

ツネイシ 筒井(1回ソロ)

11日、4日目を迎えた第45回JABA四国大会は、予選リーグの残り試合が行われている。すでに2敗を喫し、予選突破を逃したDグループの徳島インディゴソックス(四国アイランドリーグplus)は、ツネイシとJAアグリあなんスタジアムで対戦した。

非常に強い風がバックスクリーン方向に向かって吹き付ける。ツネイシの三番・筒井拓也(神戸学院大)は1回裏、徳島IS先発・木下雄介(駒澤大中退)から左翼にソロ本塁打を放ち、1点を先制した。

追う徳島ISは3回表、ツネイシ先発・小野晋一郎(吉備国際大)から一死満塁と走者を溜める。三番・ハ・ジェフン(カブス傘下3A/韓国)の右翼越え適時打で2点を。さらに一死二、三塁として四番・小林義弘(東洋大中退)の右邪飛が犠飛となり3点目を追加する。序盤で逆転に成功した。

徳島ISは6回表にも相手野手の失策から無死一、三塁のチャンスをつかむと、五番・張泰山(セブンイレブン・ライオンズ/台湾)の右犠飛により三塁走者が生還、追加点を奪う。

5回を1失点で乗り切った木下に代わり、6回から左腕・山藤桂(島根中央高)、8回から橋本隼(佐久コスモスターズ)が走者を背負いながらも粘り強い投球を見せる。ツネイシは5回以降、先頭打者を出塁し続けたが追加点を挙げることができず、最終回の攻撃も無得点に終わった。

徳島ISが4-1でツネイシを下し、四国リーグの所属球団がJABA四国大会に参戦し始めて以降、6戦目で初の白星を挙げた。なお、Dグループからは3勝0敗の成績で、JX-ENEOSが決勝トーナメントに駒を進めている。

予選Dグループ結果

JX-ENEOS 3勝0敗0分け

NTT西日本 2勝1敗0分け

徳島インディゴソックス 1勝2敗0分け

ツネイシ 0勝3敗

※JX-ENEOSが決勝トーナメント(12日、鳴門・オロナミンC球場)に出場

『1勝と2敗と』

社会人野球トップクラスのチームと対戦してみて、徳島ISの選手たちが感じたことがある。初戦で屈辱的な7回コールド負けを喫した対JX-ENEOS戦(8日、アグリあなんスタジアム)で、意地のソロ本塁打を放った寺田奨(NSBベースボールクラブ)が言った。

「意外と声も出してるし、すごく元気で。高校野球みたいな感じって言ったら分かりやすいんですかね。元気出すことはもちろんいいことなんですけど、ここまで元気で、しかも強い。ギャップがすごかった。慶應大卒、早稲田大卒とか、六大学ってめっちゃクールなイメージしかないので。泥臭かったですね。守備でも二塁手が必死に飛び付いて『ヒットにさせないぞ!』って気持ちが見えた」

大敗のあと、第2戦NTT西日本戦(10日、オロナミンC球場)では惜しくも1点差に泣いた。予選突破の可能性が消えたあとの第3戦でJABA四国大会初勝利を記録したわけだが、徳島IS・中島輝士監督(元日本ハムほか)は勝負以外のところで得たものの多い3試合だったと語る。

「ゲームの入り方、準備の入り方もしっかりしてる。声もすごく出てる。そういう社会人のファイティングスピリットというのは、僕も昔を思い出して『やっぱりこうやな』と思ったし。社会人野球みたいに声をギャーギャー出してやるのが一番いいなと思うし。こうやって見てても、社会人のほうがキビキビしてる。プレーを見てても。ファンの人たちも、見てて感じると思う。ここに参加したことで、勝ち負けよりも何か大きなものを感じてほしい」

高校時代から強豪校で主力選手となり、大学でも東京六大学などを経て社会人野球へと進んだアマチュアトップレベルの選手たちだ。渡邉貴美男(JX-ENEOS)ら社会人日本代表に名を連ねる選手もいる。

「エリート」の道から外れつつも、NPB入りを目指そうとするアイランドリーガーたちが、実際に彼らとぶつかって感じたことに、選手たちは素直に驚き、監督は「プレー以上に大事なものがある」ことを思い出していた。それはNPB2軍、3軍との対戦で得られる経験とはまた別の、上を目指す選手たちが特に精神面において携えておくべき重要なものだ。中島監督が続ける。

「練習、ゲームの厳しさを知るいいチャンスになったと思う。『百聞は一見にしかず』じゃないんだけど」

この大会で感じたことを、次にどう生かすか。「社会人野球はレベルが高いから……」の一言で片づけてしまうなら、上に這い上がる可能性はないだろう。ドラフトではこの選手たちと同じ土俵で勝負しなくてはならない。

社会人野球の公式大会に参加できるのはスケジュール上、四国大会が行われる場所を本拠地とする1球団のみである。今年、ほかのアイランドリーグ3球団にはその機会がない。徳島が次に参加するのも、このままで行けば4年後になるはずだ。

昨年、香川オリーブガイナーズが2度、延長タイ・ブレークに入りながら、結果的には0勝3敗に終わった今大会での成績に、アイランドリーグとして初めて「1勝」を加えた。これはリーグの歴史にまた新たな一歩として刻まれる。しかし、選手たちにとって後々大きな糧となるのは、2敗したことで得た経験のほうだったかもしれない。

第45回JABA四国大会 徳島インディゴソックス成績

4月8日 ● 1-14 ○ JX-ENEOS(7回コールド)

4月10日 ● 1-2 ○ NTT西日本

4月11日 ○ 4-1 ● ツネイシ

※予選リーグ、Dグループ敗退

スポーツライター

たかた・ひろふみ/1969年生まれ。徳島県出身。プロ野球独立リーグ、高校野球、ソフトボールなどを取材しながら専門誌、スポーツ紙などに原稿を寄稿している。四国アイランドリーグplus は2005年の開幕年より現場にて取材。「現場取材がすべて」をモットーに四国内を駆け回っている。

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