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【四国リーグ・チャンピオンシップ】愛媛ホームでCS第1戦に快勝!2年連続での総合優勝に王手!

高田博史スポーツライター
総合優勝へ王手にも、厳しい表情でヒーローインタビューに答える愛媛MP・正田樹

2016.9.20 四国アイランドリーグplus 2016 チャンピオンシップ第1戦

愛媛マンダリンパイレーツ(前・後期優勝) 8-4 徳島インディゴソックス(年間勝率2位)【松山・坊っちゃんスタジアム】

徳島 000 000 202|4 H6、E2

愛媛 013 040 000|8 H10、E4

勝 正田 1勝

敗 ブランセマ 1敗

バッテリー

徳島 ブランセマ、山藤、卯名根口、橋本(直)、木下 ‐ 宮下

愛媛 正田、柴田、陽、阿部 ‐ 鶴田

本塁打

徳島

愛媛 林1号ソロ(2回、ブランセマ)

20日、四国アイランドリーグ plus の年間王者を決める「チャンピオンシップ」第1戦が、愛媛マンダリンパイレーツのホーム、松山・坊っちゃんスタジアムで開幕した。雨のため2日間順延となり、台風通過を待って、ようやくの開幕である

愛媛MPは当初、18日に先発として予定されていたが、19日は先発から外れていた正田樹(元日本ハムほか)を再び先発マウンドに送る。対する徳島インディゴソックスは18日から2日間スライド登板となるブランセマ(モンテバロ大/米国)がマウンドに登った。

先制したのは愛媛MPだった。2回裏、五番・林敬宏(エディオン愛工大OBブリッツ)が右中間スタンドに今シリーズ1号ソロ本塁打をたたき込む。3回裏にも一死一、二塁から四番・ポロ(元楽天/ドミニカ共和国)の右中間を破る2点適時三塁打、林の右前適時打で3点を追加、4-0とリードした。

さらに愛媛MPは5回裏、1点を追加しブランセマを攻略する。二番手としてマウンドに登った山藤桂(島根中央高)から八番・鶴田都貴(東京国際大)が左中間へ走者一掃の3点適時二塁打を放ち、この回4点を追加。8-0とさらにリードを広げた。

徳島ISは6回表、三番・小林義弘(東洋大中退)が左中間フェンスを直撃の二塁打で出塁する。五番・ホーキンス(Boston MASS/米国)の右翼線二塁打などで2点を返した。

6回2失点でマウンドを降りた正田に代わり、愛媛MPは継投策に出る。7回を柴田健斗(元オリックス)8回を陽建福(興農ブルズほか/台湾)とつなぐが、8回に野手の4連続失策により2点を失った。

しかし9回表、徳島IS最後の攻撃を愛媛MPのクローザー・阿部直晃(横浜バイブルース)が無得点に封じ込め、8-4で逃げ切った。

愛媛MPは前・後期優勝のアドバンテージ(1勝)があるため、2年連続の年間総合優勝に王手を懸けている。

『反省の弁』

この試合のMVPに選ばれた正田樹(元日本ハムほか)が、ヒーローインタビューで言った。

「う~ん、どうですかね。きょうのような試合ではいけないと思います。1つ獲りましたけども、もう一回しっかり、あしたの試合に臨みたいと思います」

前半に8点を奪い、大事な「短期決戦」の初戦を獲った。だが、あえて口にしたのは、あと1勝につなげるための、勢いに乗せるような強気な言葉ではなく「このままでは厳しい」という反省の弁である。

試合後「きょうの試合ではいけない」と言った意味について聞いた。

「まず、自分自身もそこまで納得できるピッチングでもなかったですし。最後も締められなかった。なんとか勝ちましたけど……。「流れ」ってありますからね。あそこでああいうインタビューはどうかな? というのもありますけど、ここはひとつ。チームもそうですけど、チームのことより自分にっていうのもありますね。やっぱり7回。長いイニング(を投げよう)と思ってましたから」

チームにも。そしてそれ以上に自分にも。このままではその先が見えて来ないことを、あえて言い聞かせた。

試合後、口から出て来たのは、どの選手も反省の言葉である。弓岡監督から「最後は鶴田や!」と先発マスクを託された鶴田都貴(東京国際大)もそうだった。

「いいえ、まだまだ。全然、全然。打つほうはいいですけど、守りのほうで。正田さん、5回まで0で来られてたのに。ホーキンスに、2三振してるバッターにああやって打たれる。小林(6回表、先頭打者として二塁打)も抑えられるところだったと思うので。そこはやっぱり僕のミスであるし。パスボールした(記録は投手のワイルドピッチ)のもいけないことですし。まだまだ全然ですね」

「まったく納得していない」と言い切っている。

8回表の4連続失策をした当事者の一人、四ツ谷良輔(深谷商)に至っては、自らこちらに告げて来た。

「書いといて下さい。『四ツ谷、チームの足引っ張る』って。なんでエラーしたんスか? わかんないス」

「グラウンドのせいにしよう」と声を掛けたチームスタッフからのなぐさめにも「グラウンド関係ないス。上から落ちて来るボール、エラーしたんで」と耳を貸さなかった。

誰もが「勝ってバンザイ」ではなく、8点をリードしながら4点を奪い返されたこと、獲られ方の悪さに不満を抱いている。ミスで失点してしまったことを、勝利の喜び以上に大きく捉えていた。

第2戦には当然、すぐに切り替えて臨む。選手たちは次にすべきことが何か分かっている。弓岡監督が言った。

「我々は守りのチームですからね。そりゃ、やっぱりあの辺はしっかりやってもらわないと、あしたに響きますよね。だから切り替えて。あした、なんとかやりたいですね」

敵地で第3戦にもつれ込めば、流れが変わってしまう。そのためにホーム・松山で決めてしまいたい。そう考えている。日本一連覇を成し遂げるための、次の一手。

スポーツライター

たかた・ひろふみ/1969年生まれ。徳島県出身。プロ野球独立リーグ、高校野球、ソフトボールなどを取材しながら専門誌、スポーツ紙などに原稿を寄稿している。四国アイランドリーグplus は2005年の開幕年より現場にて取材。「現場取材がすべて」をモットーに四国内を駆け回っている。

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