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【四国アイランドリーグplus】2017シーズン開幕会見 北米遠征は行わず、経営面の新たな一手を

高田博史スポーツライター
4球団の各主将が「UA」ブランドの新ユニフォームに身を包んだ(撮影・高田博史)

20日、四国アイランドリーグplus は高松市内のホテルで「2017開幕記者会見」を行った。会見は「リーグと4球団の昨季経営報告」「2017年の新たな取り組み」「4球団監督、主将による今期抱負」の3部構成で行われている。

開幕戦の日程も決まった。4月1日、高松・レクザムスタジアムでの香川対愛媛戦、高知球場での高知対ソフトバンク3軍定期交流戦が開幕戦カードとして発表された。

北米遠征は行わず

全日程は3月上旬に発表されるため、すべての対戦カード、試合数などは未発表だが、15年、16年と2年連続で行ってきた北米遠征(米独立リーグ『キャンナム・リーグ』公式戦への参戦)は行わない。森本美行リーグ代表が語る。

「経済的な負担のこともあるんですけど(北米遠征が)なくなって、すごくマイナスなことにならないように。昨年、その期間を『選抜チームとして、向こうで強化しよう』という目的でやったんです。目的の半分は間違いなく「強化」なので。強化の仕方にいままでお金を掛け過ぎた。『最終決算発表で赤字になるのであれば、球団のなかで強化の方向を考えましょう』と、いろいろ話し合いました」

では、仮に昨年と同じ日程でシーズンが進むとするなら、前期(4、5月)と後期(8、9月)に挟まれた6月、7月の2か月間をどうするのか。

一例として、愛媛は薬師神績球団代表が「15年から始まった台湾社会人チーム(トプコ・ファルコンズ)との交流戦のため、台湾遠征を行う」と発表している。県、松山市が台湾と積極的に交流しており、球団としても野球を通じた交流を深めたいと考えているためだ。

リーグ、各球団のフロントスタッフを集めて行われるリーグ理事会でも、この2か月間をどうするかについて話し合われている。中国のチームを迎えて交流戦(徳島)、集中キャンプ、NPB2軍との交流戦などがアイデアとして上がったという。ともかく6月、7月の2か月間は、各球団ごとに選手の強化を進めて行くことになる。

「何もない2か月間に、選手がどういう思いでどうするか。そこの差がプロに行って成功するヤツと、このまま夢を諦めちゃうヤツとの差になる。この2カ月をネガティブに捉えないで『2カ月をどうするかが、お前の今後を決めるんだよ』ぐらいの話をする」(森本代表)

恒例となっている7月の首都圏遠征、対フューチャーズ(NPBイースタン・リーグ混成)戦は、例年通り行われる予定だ。こちらは選抜チームとして臨む形になるとみられる。

健全経営に向け「どこかできれいにしないといけない」

マニー・ラミレス(元レッドソックスほか)の高知入団につながるなど、北米遠征を行ったことについては想像以上のメリットがあった。森本代表も本音は「続けたい」のだが、リーグ運営会社である株式会社IBLJは、北米遠征での支出により15年度決算で約3000万の赤字を計上した。16年度は大幅に赤字幅を減らしつつも、約1600万の赤字決算となっている。

「それをマネタイズ(収益事業化)する力があるかないかというと、我々にはまだまだないんですね。先行投資と回収と、どちらが大事か。投資する以上、どこかで回収しないといけない。単年でみれば1600万の赤字なんだけど、実は先行投資って、これまでの12年間で、10数億しているわけなんですね」

リーグの経営がこれまでの体制から、森本代表体制へとバトンタッチされて行く過程で「どこかできれいにしないといけない」(森本代表)という思いを強く持っている。

だが、確実な光明も見えている。香川を除く3球団が黒字決算したことだ。愛媛が5期連続、高知が3期連続、徳島も16年度に初の黒字化を達成した。来季は関係5団体すべてでの黒字化を目指す。

そのために新たな取り組みに打って出ている。airSports株式会社から新規データシステムを導入し、ITを介して情報を発信していく。リーフラス株式会社と提携し、さらなる地域貢献活動を行っていく。株式会社ドームとのオフィシャルパートナー契約を結び「UNDER ARMOUR(アンダーアーマー)」ブランドと共に、四国リーグを「UAベースボールのショーケース」として打ち出していく。会見ではUAブランドを用いた新ユニフォームも併せて発表された。これらはすべて、リーグの新たな価値を高めるための次の一手だ。

価値を高め、新たなスポンサーを獲得する。13年目となる四国リーグの2017年は、NPBへの選手輩出はもちろん、さらなる経営強化を進めるための、大きなターニングポイントの1年となる。

スポーツライター

たかた・ひろふみ/1969年生まれ。徳島県出身。プロ野球独立リーグ、高校野球、ソフトボールなどを取材しながら専門誌、スポーツ紙などに原稿を寄稿している。四国アイランドリーグplus は2005年の開幕年より現場にて取材。「現場取材がすべて」をモットーに四国内を駆け回っている。

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