Yahoo!ニュース

マニー・ラミレス、高知で入団会見。「お金じゃないんです、彼は」北古味副社長が肌で感じた英雄の存在感

高田博史スポーツライター
駒田監督(左端)らと共に鏡開きで高知入団を祝う!(撮影/高田博史)

9日、独立リーグ、四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグスに入団が決まったマニー・ラミレス(元レッドソックスほか)の会見が、高知市内のホテルで行われた。背番号は「99」登録名は「マニー」となる。

ジュリアナ夫人を伴って会場に現れると、梶田宙球団社長からユニフォームを、駒田徳広監督(元巨人ほか)からキャップを受け取り、ポーズを取った。祝賀ムードは止まらない。バットを使っての鏡開きも行われる、ド派手な会見となった。

契約内容は非公表

会見の最初に、マニーが語る。

「まず、チームに感謝したい。日本でプレーすることは私の夢の1つでした。神様のおかげもあり、こうして日本に来ることができた。家族全員とてもうれしく思っています」

今後、対ソフトバンク三軍と対戦する4月1日の開幕戦(高知球場)に向け、コンディションを上げて行くことになる。

質疑応答では「契約年数、契約金について」の質問が飛んだ。梶田社長が答える。

「契約については非公開にしております。契約期間も非公開にしておりますので」

続けて投げ掛けられた「藤川球児投手(2015年後期シーズンに高知でプレー)が入団した際に『0円契約』が話題を呼んだが、今回は?」という質問に対しても「そこら辺も非公開ということで」と答え、公表しない姿勢であることを貫いた。

「お金じゃないんです、彼は」

高知滞在中は、今回の入団交渉でも実際にアメリカへ足を運び、契約交渉に当たった副社長、北古味潤氏が「マニー夫妻」を担当することになる。ひとまず会見が無事に終わり、ホッとした表情を見せていた。

「良かったです(笑)きょうもギリギリまで連絡つかないんですよ! ヒヤヒヤしました!」

会見前日のお昼には、マニー夫妻、球団スタッフらと共に、地元で人気の高い回転寿司屋を訪れている。ジュリアナ夫人が「食べものがおいしい!」と喜んでくれた。これまで行ったブラジルなどと比べれば、日本は衛生面の心配がほとんどない。アメリカで口にする食材と比べても、野菜や魚が非常に新鮮だ。「『高知は最高!』って言って、写真撮りまくってました」と話す。

「彼はレジェンドなんだ」

昨年末、契約交渉を終えてマイアミの街をマニーと一緒に歩いていたとき、感じたことがある。彼が歩いたあとには花が咲き乱れているんじゃないか。トレーニングするロッキーのあとを、子供たちが一緒に走って付いて行くような……。まるで、本物のスーパーヒーローを見ているようだった。

「アメリカの英雄なんですよ! ホントにスパイダーマンとかみたいな、スーパーヒーローっていうか。1人が『マニーだ!』と気づいたら、何十人と作業している工事現場の人たちが、一斉に手を振っている。スペイン語で、何言ってるかわからないけど。渋滞になるのも気にせずに、車が停まったり……。そんなスーパーヒーローいる? 向こうの国民性ですけどね。でも、あれを見たときに、レベルが違う。文化が違う。『彼はレジェンドなんだ!』と思いましたね」

来日前、一部のマスコミから契約内容についての報道があった。だが「まったく違います」と完全に否定する。いくらもらえるとか、どっちの条件がいいとか、そういう話ではないのだ。もちろん何億という莫大な金額で契約したわけではない。しかし、契約内容を発表してしまうことで、アメリカの英雄に「その金額だけの価値しかない」というレッテルが貼られてしまうことは、何としてでも避けたい。だから、球団として非公表を貫く。

「ただ、野球がやりたい」と言って、高知に来てくれる。「お金じゃないんだ」と言っている。

「お金じゃないんです、彼は。そう言って来てくれているものの金額を、わざわざ言う必要はないですから。マニー、言ってましたね。『野球のプレー以外で、日本の子供たちに見せたい』って。あれは見ものですね。ただ、時間は守ってほしい(笑)」

ついに、メジャーのレジェンドはやって来た。純粋に「野球がやりたい」という欲求を抱き、赤いユニフォームに袖を通した。

スポーツライター

たかた・ひろふみ/1969年生まれ。徳島県出身。プロ野球独立リーグ、高校野球、ソフトボールなどを取材しながら専門誌、スポーツ紙などに原稿を寄稿している。四国アイランドリーグplus は2005年の開幕年より現場にて取材。「現場取材がすべて」をモットーに四国内を駆け回っている。

高田博史の最近の記事