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第17エンド「全日本&冬季アジア大会ロスのファンに告ぐ。まだミックスダブルスがあるじゃないか!」

竹田聡一郎スポーツライター
会場は北見市の「アドヴィックス常呂カーリングホール」。第一回大会も常呂だった。

ハイレベルだったがしかし、五輪トライアルということでどこかせつなく儚い、いまだかつてなく心を動かされた全日本が終わった。いろんな感情が襲ってきて、思わずおセンチで感傷的なエントリーをアップしてしまった。人によってはチラ裏的な原稿だったかもしれない。お察しの方もいらっしゃると思うが、深夜に書いた。ともかく軽くロスだった。

しかし、2月中旬、僕のちっちゃな鬱屈を晴れさせてくれるニュースが入った。小笠原歩、小野寺佳歩、吉村 紗也香らのミックスダブルス参戦の速報だ。しかも、それぞれ組むパートナーは阿部晋也、 谷田康真、松村雄太という日本選手権でSC軽井沢を追いつめた札幌4REALの悪童軍団だ。どれも魅力的なコンビで、マッチング自体にも可能性を感じるし、平昌五輪から採用される新種目での出場にも夢があるし、今季までのチームメイト同士が今度はライバルとなって戦うことには物語がある。

ただ、そうなると以前からミックスダブルスを主戦場としていた前回王者の蒔苗匠馬(まかなえたくま)・荒木絵理ペアや、最多優勝の苫米地(賢司・美智子)夫妻、常連の竹田夫妻(直将・智子)ら、有力チームらはどう思っているのだろう。やっと自分たちが取り組んでいた競技が正式種目になった時、4人制から黒船がやってくるわけだ。それでも彼らは意外と「これで知名度も上がる」「強いチームとの試合は歓迎」などと、もちろん、多少の複雑な気持ちはあるだろうけれど、ウェルカムの構えのようだ。このあたりがカーリングというスポーツの力強い部分で、カーラーという生き物の奥ゆかしさだ。プライドと積み重ねてきた経験で推薦枠3チームに返り討ちをくらわせるのも、面白いかもしれない。

というか、その可能性は十分にある。

まずはルールが異なる。8エンドゲームで、エンドあたりのストーンは1ペアで5個。一方の選手は1投目と5投目を、もう一方の選手は2-4投目を担当する。デリバリーの役割はエンドごとに変更可能だ。ただ、各エンドでハウス内とガードに石を置いた状態からスタートする。つまり4人制でリードが担当するまっさらなアイスの状態はないわけだ。さらに両軍合わせてそのエンドの3投目、後攻のセカンドまではテイク禁止。他にもエンド前に石を置く場所、先攻後攻の権利、ブランクエンドについてなどの細かいルールがあるが、ここは日本カーリング協会さんに頼ってしまう。このページがいちばん分かりやすい。

強化推薦3ペアの中での経験者はふたり。小笠原(当時は旧姓・小野寺)歩は07年に開催された記念すべき第一回大会でレジェンド敦賀信人と組み、準優勝を果たしている。また、その時の3位が小野寺亮二(現ロコ・ソラーレ北見コーチ)・佳歩の父娘ペアだ。残りの4名はほぼ初体験。「大まかなルールは知っていたけど、戦術や定石のようなものはほとんど知らなかった。強化合宿でいろいろ勉強したのでこれを活かしたい」とは阿部だ。

まずは参加16チームをふたつのリーグに分け、8チームで総当たりの一次リーグを戦う。強化推薦3ペアは経験に長ける15ペアに対して、まずは戦術と勝ち方を身体に叩き込みながら自身がどのレベルで戦えるのかを見極める序盤戦となりそうだ。

ということで、今日から「第10回 全農 日本ミックスダブルスカーリング選手権大会」に向けて強化推薦枠3チームの紹介や、大会展望をつづっていきたい。1日からは現地よりレポートおよび「勝手にホットハンド」も決めていきたいので、みなさま、ぜひ読んでやってください。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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