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名古屋で豪雨、避難は外に逃げるだけじゃない

関口威人ジャーナリスト
冠水した名古屋市内の道路(4日午後6時ごろ、関口威人撮影)

台風から変わった低気圧と前線の影響で、4日は東海地方を中心に各地で猛烈な雨が降っている。名古屋市では午後4時からの1時間に中区や港区付近で110ミリの記録的な大雨が観測された。

夜にかけてもまだ大雨の恐れがあり、地盤がゆるくなった地域の土砂災害などにも厳重な警戒が必要だ。午後8時現在も、市全域を対象に避難準備情報が発表、河川洪水の恐れがある北区の一部で避難勧告が発令されている(【追記】午後9時15分に避難勧告解除、同25分に避難準備情報も解除)。

名古屋では2011年9月20日、台風15号による大雨で100万人以上の市民を対象に避難勧告が出されたことが記憶に新しい。市中心部を流れる庄内川があふれ、400戸以上が床上、床下浸水する被害が出た。

ただ、水害による避難は必ずしも避難所に逃げることではない。家の1階から2階に上がることも避難だ。特に夜間にやみくもに外に出ることは、かえって水に流されて危険な場合もある。2009年8月、兵庫県佐用町の大雨で避難中に濁流にのまれた犠牲者が出たことが大きな教訓だ。

避難勧告などが出された地域でも、周囲の状況を把握して冷静に判断するとともに、近くに手助けの必要な高齢者や障害者がいないかどうかも気にしてほしい。

ジャーナリスト

1973年横浜市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学)修了。中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋を拠点に地方の目線で社会問題をはじめ環境や防災、科学技術などの諸問題を追い掛ける。2022年まで環境専門紙の編集長を10年間務めた。現在は一般社団法人「なごやメディア研究会(nameken)」代表理事、サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」編集委員、NPO法人「震災リゲイン」理事など。

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