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大雪の山梨・高齢者施設の不安な現状(17日正午現在)

関口威人ジャーナリスト
山梨県笛吹市の17日正午現在の状況(施設関係者提供)

山梨県を中心とした今回の大雪被害は、私にとっても想像を絶するものだ。個人的な事情で恐縮だが、山梨県笛吹市のグループホームに高齢の祖母がいる。降雪が本格化した14日以降、祖母の無事は確認しているが、施設自体がいまだに雪に囲まれ、暖房や食料調達などの不安は消えていない。施設関係者から聞き取った17日正午現在の状況を記録したい。

施設には職員を含めて18人前後がおり、食料は3日分を備蓄していた。今回はそれに日ごろ余っている野菜や、施設を経営する法人本部からの差し入れなどもあって十分にまかなえた。現在は周辺の店もようやく開き始めており、水や食料の不安は少ない。

最大の不安は暖房

最も懸念されたのが電気。お年寄りにとっては暖房が切れて冷え込むことが一番こたえる。電気器具以外の暖房がなかったため、いつ停電があるかヒヤヒヤしていたという。幸い施設のある地区は停電にならなかったが、今後の一番の不安要因だ。

道路はマヒ状態だった国道20号線が動き始めた。しかし除雪がしきれず車はノロノロ運転。大型トラックなどの立ち往生で渋滞が繰り返されている。

雪に埋もれた駐車場(17日正午、山梨県笛吹市の施設職員撮影)
雪に埋もれた駐車場(17日正午、山梨県笛吹市の施設職員撮影)

17日朝、普段は10分掛かるところを1時間掛けてたどり着いた職員らと、14日から帰宅できず泊まり込んでいた職員3人が何とか交代。しかし日中は8人態勢のところ、まだ5人しか出勤できていない。当然、雪かきに手が回らず、駐車場も何とか1台止まるスペースを確保しているのが精いっぱい。建物自体は比較的新しくしっかりしているが、中庭の木製のフレームが折れてしまった。

情報は職員同士の電話のやりとりが中心。「テレビは大まかなところの情報しか分からない。もちろんパソコンは活用できていないので、状況が把握できない」と訴える。

18日以降、再び雪の予報に、まさしく震える。行政や民間を含めて、福祉施設の状況を何とか把握して対策を打ってほしい。

ジャーナリスト

1973年横浜市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学)修了。中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋を拠点に地方の目線で社会問題をはじめ環境や防災、科学技術などの諸問題を追い掛ける。2022年まで環境専門紙の編集長を10年間務めた。現在は一般社団法人「なごやメディア研究会(nameken)」代表理事、サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」編集委員、NPO法人「震災リゲイン」理事など。

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