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【インタビュー】JUNHO(From2PM) 豊かな音楽性に秘められた想い「これからも走り続ける」 

田中久勝音楽&エンタメアナリスト

2PMとしてのアリーナツアーを終えたばかりのJUNHOが、その余韻に浸る間もなく、4枚目のソロミニアルバム『DSMN』を7月20日にリリース、ソロツアーをスタートさせた。全楽曲を自身でプロデュースし、その音楽性はジャンルを問わず、これまでの3枚で見せたくれたものよりもさらに広がっている。JUNHO流の爽やかかつカラフルなポップスが詰まった一枚には、これからも音楽を続けていくという本人の強い意志が込められている。この作品のこと、そして2PMとして行ったツアー、ソロライヴについてインタビューした。(インタビューはツアーが始まる直前に行いました)

「2PMと僕は切り離せない。ソロツアーでも2PMの姿を思い浮かべてもらえるような演出を考えたい」

――まずは、2PMとしのてアリーナツアーのファイナル、大阪公演を終えた感想を教えて下さい。

JUNHO 2PMのひとつの区切りとなるツアーだったので、終わった時にとても淋しいような、名残惜しいような気持ちになりました。終わって欲しくないという気持ちが一番強かったです。結成して10年、2PMとしての活動をしながら、歌手というのはコンサートをやるのが当たり前だと思って、これまで100本以上のコンサートをやりましたが、それがしばらくできなくなるということを考えたことがなかったので、現実としてそれが近づいてきて、すごく淋しい気持ちになりました。

――でもすぐに気持ちを切り替えて、このソロミニアルバムのプロモーションをやらなければいけないので、感傷に浸っている余裕もないですね。

JUNHO でも2PMと僕とは切り離せないもので、今回のソロツアーに関しても2PMのツアーとは切り離せないものと思っているので、2PMのアリーナツアーを終えてすぐのソロツアーということもあって、2PMの姿を皆さんに思い浮かべてもらうようにしたくて、色々と準備をしています。

これからも止まることなく音楽活動を続けていく――その意思表示がアルバム『DSMN』

――ソロミニアルバム『DSMN』はどういうコンセプトからスタートした作品なんですか?

JUNHO 今年の1月の頭からこのアルバムについて考え始めました。今までソロミニアルバムを制作する時は、その時考えていることをいつも表現したいと思っていましたが、これまで2PMとして8年間、ソロ活動を始めて4年間休むことなくずっと走り続けてきて、それは今も続いていて、今後もそうでありたいという意思(“Don’t Stop Me Now”)を投影したアルバムになったと思います。

――これからも止まることなく音楽活動を続けていきたいと。

JUNHO そうです。

――これまでの3枚のソロアルバムとはまた全然違う感じで、より音楽性の幅が広がっている感じがします。個人的には「DSMN」「毒 (On your mind)」「YES」「Instant love」が印象的でした。JUNHOさんが全曲、楽曲プロデュースを手掛けたということで、想いがこもっていると思いますので、一曲ずつこだわったところ、聴きどころを教えて下さい。

『DSMN』完全生産限定盤
『DSMN』完全生産限定盤
『DSMN』初回限定盤A
『DSMN』初回限定盤A

JUNHO まず「DSMN」「毒 (On your mind)」が最初にできた曲です。どちらをタイトル曲にするか悩みました。「毒 (On your mind)」は2PMのアルバムに入れたいと思って作って、コンセプトは“ヴァンパイア”で、ヴァンパイアは人の血を吸うという生き物ですが、そうではなく女性に毒を与えるという、ヴァンパイアと白雪姫の童話を融合させたような作品にしました。今回のアルバムのテーマが“自由と解放”なんです。なのでジャケットも屋上から飛び降りていたり、水の中を深く潜っていたりして、「DSMN」を聴いている3分間だけは、何も考えずに自由を感じたり、解放された気持ちになって欲しいダンスナンバーです。

頭の中にその曲の映像が浮かんできて初めて曲ができる。同時に、コンサートでどんなダンスパフォーマンスができるかも考える

――確かにどの曲を聴いても、JUNHOさんの切れのあるダンスが想像できます。

JUNHO やっぱりダンスが特技なので、ダンスを生かせるようなものを作りたかったです。

――曲を作る時に自分がダンスをしている画を想像して作るんですか?

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JUNHO ダンスが入らない曲というコンセプトを考えてみたのですが、どうしても曲の途中にポイントとして入れたくなります。去年リリースしたミニアルバム『SO GOOD』の中に「INSANE」という曲があって、これがすごく激しい曲なのですが、ラストはモダンバレエのような振付けになっていて、曲全体をパフォーマンスを考えながら作る場合もあれば、曲の間のどこかにダンスが入れる場合もあります。

――次は「YES」にいきましょうか。

JUNHO「YES」はプロポーズソングを作りたいと思いました。最初にイメージしたのはタキシードとドレスで正装した人達がたくさんいるパーティ会場に、彼女を連れて行って、「君のために歌いたい」と言って、ステージで歌うというシーンでした。

――最初にそれだけ明確なイメージがあれば、ミュージックビデオが撮れそうな感じです。

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JUNHO もし撮れるのであれば(笑)。曲を作る時は歌詞が先に思い浮かぶ場合でも、メロディが浮かぶ場合でも、トラックが先であっても、やっぱり頭の中に映像のイメージが思い浮かんでこないと、曲は生まれてきません。できればこのミニアルバムの1曲目から最後の曲までをつなげてミュージックビデオを撮ってみたかったです。

――「Run to you」はどうでしょう?

JUNHO「Run to you」は、最近はSNSを通じてコミュニケーションをとることが増えていますが、今の若い人達のSNSでのコミュニケーションの取り方というものを、歌で表現したいと思いました。例えば相手にメッセージを伝える時も、最近はインスタやLINEでハートマークを送ったり、Facebookをフォローしたり、相手に好意を伝える色々な表現方法があって、そんな恋愛の形を書いてみたかった。

――「Instant love」はどうでしょう?

JUNHO インスタント食品というのは簡単に作れて、すぐ食べることができる手軽なものです。刺激的ですが、すぐに飽きてしまうし体にもよくない。恋愛に関してもそういうインスタント的な部分ってあるんじゃないかと。燃え上がるんだけど、すぐに冷めてしまったり、そんなことを書いてみたいと思い、「Instant love」を作りました。

「聴きやすさの中にも、色々な解釈ができるような開かれた音楽を作っていくのがこれからのテーマ」

――ファルセットがカッコイイ曲です。「Roller coaster」ですが、これが一番JUNHOさんぽいというか、音は本格的でハードで、でも爽やかな声と相まって、どこかキュートさを生んでポップスになり、そこが“オリジナル”という感じがします。

JUNHO ファンの方の中にも、音楽が本当に好きな人もいると思いますし、僕のことを好きでいてくれる人もいると思いますし、作品の“バランス”を心地よく感じてもらえているのであれば嬉しいです。でも聴きやすさの中にも、色々な解釈ができるような開かれた音楽を作っていくのが、僕のこれからのテーマだと思っています。ただ単純に観てカッコイイというだけじゃないもの、これも去年のミニアルバム『SO GOOD』に入っていた曲なんですが「Pressure」という曲のラップパートは、僕自身の物語になっていて、真心を込めて作りました。でもコンサートの時は、パフォーマンスばかりに目がいってしまって、その歌詞の意味が隠れてしまっていたかもしれません。コンサートも一度だけではなく、何度も観ることで色々な観え方がしてくると思います。映画も一回観ただけではわからなかったことが2回、3回観ることによって気付かされることがあります。そういう部分ではコンサートも音楽も同じだと思います。

――やっぱりその声が一番の武器ですよね。

JUNHO しっかりと伝えていくことが仕事ですので、そう言っていただけると嬉しいです。「Roller coaster」は恋する気持ちはアップダウンが激しいもので、それを表現しました。遊園地にあるローラーコースターは上下左右に大きく揺れますが、この曲では、自分の感情が一人の女性によって左右されている恋の物語を、ウィットを盛り込んで表現してみたかったんです。それをバラードにしてしまうとシリアスになって、面白みがなくなってしまうので、アップテンポにしました。

――「Insomnia」にいきましょうか。

JUNHO「Insomnia」は文字通り、彼女の事を考えると夜も眠れない不眠症の曲です。そういう感情というのは、人にとって最も基本的な感情だと思います。それを表現をしたかった。

――「最後に」は打って変わって静かなバラードです。

JUNHO 僕はひとつの音楽のジャンルを突き詰めていくというよりも、色々なタイプの音楽を聴きますので、バラードも大好きです。

――「HYPER feat. Jun. K」にはJun. Kさんのラップが入っていますが、Jun. Kさんにはプロデューサーとして何かリクエストしましたか?

JUNHO ただひと言「ラップやる?やらない?ちょっとお願い」と言ったら、「いいよ!」って引き受けてくれました。Jun. Kさんの音楽性については100%信頼しているので、ラップの部分は完全にお任せでした。

「あまりマイナーな方向やディープな方向に行き過ぎないよう、”ちょうどいい温度”の音楽を心がけたい」

――これもトラックが結構ハードですが、JUNHOさん声が全体の温度をちょうどいいもにしてくれています。

JUNHO そうであれば嬉しいです。あるジャンルにチャレンジする時に、もちろんその世界観にどっぷりハマって歌い方を変えることもできると思いますが、でもあまりマイナーな方向やディープな方向にハマってしまうと、聴いている人の中には「ちょっと…」と思う人もいると思いますので、なるべく今言っていただけたように、ちょうどいい温度に仕上げていくように心掛けています。

――ミニアルバム全体のサウンドがカッコイイので爆音で聴きたくなりますね。

JUNHO 僕はいつも車の中で爆音で聴いています(笑)

ソロツアー「HYPER」は「気分が思い切り上がって、エキサイトできるような遊べるコンサートにしたい」

――このインタビューが出る頃は、もうツアーが始まっていますが、最新作品の『DSMN』を表現する場でもあり、「HYPER」というツアータイトルなので、『DSMN』だけにこだわらないベスト的な内容になりそうですね。

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JUNHO コンセプトが「HYPER」なので、気分が思い切り上がって、エキサイトできるような遊べるコンサートにしたいと思っています。今までの曲も全部ミックスして構成しようと思っていて、僕は「HYPER」という言葉が好きなので、その中に『DSMN』を含む感じです。

――夏のコンサートが恒例になっています。

JUNHO もう4年間夏にやっています。実はこのコンサートを始めるまでは夏が苦手で、でもソロ活動を夏にやるようになって、夏が好きになりました。毎年ファンの方に会えるこの季節が待ち遠しく、でもあっという間に通り過ぎていってしまうので、夏をステージの上で楽しんでいるという感じです。

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<Profile>

ジュノ。1990年1月25日生まれ。 2PMとして2008年に韓国、2011年日本デビュー。2013年7月ミニアルバム『キミの声』で日本ソロデビュー。2014年7月2ndミニソロアルバム『FEEL』、2015年3rdソロミニアルバム『SO GOOD』をリリース。7月6日の大阪を皮切りに全国5か所で12公演行う『JUNHO(From 2PM)Solo Tour 2016”HYPER”』がスタートした。

4thソロミニアルバム『DSMN』スペシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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