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米国議会演説はネギしょった鴨が這いつくばるの図

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(148)

皐月朔日

日本時間の4月30日未明に行われた安倍総理の米国議会演説には「ネギしょった鴨が這いつくばるの図」を見る思いがした。日本の総理にとって初の上下両院合同会議での演説ということで、スピーチライターはアメリカに気に入られようと最大限の努力で原稿を練り上げたのだろう。しかしここまで鴨が這いつくばると日本を心底からバカにするアメリカを見てきたフーテンには決して気持ちの良いものではない。

そして安倍総理を「右翼ファシスト」と見るアメリカが初の議会演説をやらせたところに、アメリカが安倍総理という鴨を「調教」しようとする意図を感じる。アメリカに持ち上げられれば、持ち上げられた方は一生懸命にアメリカを持ち上げ返して迎合しようとする。それが日本よりもアメリカの国益を優先する発言を引き出す。安倍総理という鴨は議会演説をさせられた事で、アメリカの国益を守る閂(かんぬき)をかけられたのである。

演説で安倍総理は、まだ日本の国会での議論が始まってもいない安保法制を夏までに必ず実現すると米国議員に約束し、また日本の国益をかけた対米交渉がまだ途中であるにもかかわらず、TPPを中国に対抗するための道具として日米が協力する考えを表明し、日米同盟を中国に対抗する「希望の同盟」と呼んで、議員たちの喝采を浴びようとした。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:4月27日(土)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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