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安倍総理はジンクス通りに解散を打てるのか?

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(212)

弥生某日

22日の東京新聞に気になる記事があった。ロシア軍の元特殊部隊員にモスクワ特派員が独自取材をしているのだが、ロシア軍のウクライナ介入は2013年12月に既に準備されていたというのである。

2013年12月のウクライナはまだ親ロ派のヤヌコビッチが権力を維持していた。一方、12月13日にヌーランド米国務省報道官がワシントンで「ソ連崩壊後のウクライナの民主化勢力に米国は50億ドル以上投資した」と発言し、ウクライナの首都キエフでは親欧米派による反ヤヌコビッチ・デモが高まり始めていた。

ロシア軍元特殊部隊員はその12月に指揮官から「近くウクライナで軍事行動がある」と言われ、翌14年1月にロシア軍の記章のない新しい軍服を支給されたと証言する。軍の記章を付けない武装勢力は、その後クリミア半島の制圧やウクライナ軍との戦いの中心になるが、その作戦計画は13年12月から練られていたのである。

その13年12月に南アフリカでオバマ大統領とキューバのカストロ国家評議会議長が握手をし、秘かに国交正常化への政策転換が進行していた。しかし元KGBのプーチン大統領はその情報を把握していたかもしれない。14年2月7日から始まるソチ・オリンピックで米国はテロに襲われた場合の自国民救出を口実にロシア海軍の拠点のある黒海に軍艦を派遣したが、プーチンは直ちに米国の喉元キューバに軍艦を派遣していた。

ソチ・オリンピックでロシアが動けない時期にウクライナで米国に後押しされた反政府暴動が盛り上がり、ソチ・オリンピック直後の2月24日にヤヌコビッチ政権は崩壊する。するとロシア海軍の拠点があるクリミア自治共和国で親ロ派と反ロ派が衝突、そこに正体不明の武装勢力が乗り出して重要施設を占拠した。

間もなくプーチンは3月1日に連邦議会にウクライナ全土での武力行使の承認を求め、正式にロシア軍がクリミアに出兵、16日には住民投票が実施されてクリミア共和国がロシア連邦に編入された。米国、EU,日本などはこれを認めず、ロシアをG8から除外して世界は「新冷戦体制」に突入する。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■「田中塾@兎」のお知らせ 日時:4月28日(日)16時から17時半。場所:東京都大田区上池台1丁目のスナック「兎」(03-3727-2806)池上線長原駅から徒歩5分。会費:1500円。お申し込みはmaruyamase@securo-japan.com。

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