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リンカーンの共和党がトランプの共和党になるまで

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(237)

文月某日

不動産王ドナルド・トランプが日本時間の22日午前から共和党大統領候補指名受諾演説を行った。演説は史上最長の1時間15分に及び、トランプは「グローバリズムよりアメリカ第一」を掲げて「移民などの少数派排除」を宣言し、同時に民主党の大統領候補となるヒラリー・クリントンを激しく攻撃した。

そもそも黒人奴隷解放を掲げて結成された共和党が、リンカーンが初代の大統領に就任してから155年目にして、少数派排除を掲げる人物を大統領候補に指名したのである。そして南北戦争で分断された合衆国の統一に腐心したリンカーンとは対照的に、トランプは分断と排除の論理でアメリカを再生させると訴えている。

極めて異例なことだがこの党大会に党の主要メンバーは出席せず、共和党は党の結束を打ち出すことができなかった。しかし共和党内に対立と分断をもたらしたトランプを共和党支持者の多くは支持している。この現実が共和党をいかなる方向に導き、アメリカ政治をどう左右するのか。日本に直接に影響するアメリカ政治の行方から我々は目を離すことができない。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:3月31日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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