Yahoo!ニュース

世界エイズデー:Apple、10年目のREDキャンペーンで、赤い製品がひろげるエイズゼロへの挑戦

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
iPhone 7向けバッテリーケースと、iPhone SE向けレザーケース新発売

Appleは12月1日から6日までの7日間、REDとのエイズ撲滅キャンペーンを展開します。

パートナー企業の製品を購入すると、その購入金額の一部が「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)」に寄付される(PRODUCT)REDで知られるこの活動。AppleはRED設立の2006年からのパートナーとして、参加してきました。

12月1日の国際エイズデーに合わせて、iPhone 7に対応するバッテリー内蔵のSmart Battery Caseの(PRODUCT)RED版を発売します。このケースは、背面にバッテリーパックを内蔵しているケースで、これまでブラック(というか濃いグレー?)とホワイトの2色がありました。

今回登場するのは印象的な赤いカラーで、ブラックやシルバーなどだけでなく、ゴールドともコーディネートしやすいのではないか、と思います。iPhone向けのケースでは、iPhone SEに対応する赤いレザーケースも新登場します。

これらに加えて、シリコン、レザーの素材で展開されているiPhone 7・iPhone 7 Plusのスマホカバー、iPad Pro 9.7インチ、iPad mini 4などに対応するタブレットカバー、Apple Watch向けスポーツバンドなど、(PRODUCT)REDのアクセサリがMac以外の全てのデバイス向けに揃いました。

加えて、iPod touch、iPod nano、iPod shuffleといった音楽プレイヤー製品にも、(PRODUCT)REDのカラーがラインアップされています。iPodまでは製品のデザイン自体が真っ赤になっていたのですが、最近のコラボカラーはケースで実現しているという点に違いがあります。

Appleの(PRODUCT)REDのラインアップは、以下から見ることができます。

http://www.apple.com/jp/product-red/

REDとは

TEDでスピーチするボノ氏。2013年3月に筆者撮影。
TEDでスピーチするボノ氏。2013年3月に筆者撮影。

REDは、2006年にU2のボノ氏、ボビー・シルバー氏が設立した「エイズに感染して生まれてくる新生児をゼロにしよう」というミッションを持った活動団体です。

写真は、2013年に米国カリフォルニア州・ロングビーチで開催されたTEDでスピーチを行ったボノ氏。スピーチの模様は、以下で見ることができます。

TED: Bono: The good news on poverty (Yes, there's good news)

2005年にはHIVを母親から受け継いで生まれる新生児が1日1200人を数えていましたが、2006年に開始したREDの活動を通じて、現在ではこの数は400人にまで減少したと、その成果をアピールします。2020年までにHIVに感染死して生まれてくるこどもを0人に、2030年にはエイズそのものを人類から撲滅することができる、と自身を見せます。

REDのパートナーにはAppleの他にも、Salesforce.com、Tradeshiftといったテクノロジー企業や、GAP、Starbucks、Coca-colaといった企業が名を連ね、これまでの10年間に、前述のグローバルファンドに対して3億6500万ドルの寄付を行ってきました。このうちAppleは1社で1億2000万ドルの資金を作り出す最大のパートナーになりました。

パートナーシップ10年目のAppleの取り組み

Apple副社長リサ・ジャクソン氏。2016年3月のスペシャルイベントにて撮影。
Apple副社長リサ・ジャクソン氏。2016年3月のスペシャルイベントにて撮影。

AppleでREDとのパートナーシップに取り組んでいるのは、ポリシー・ソーシャルイニシアティブを担当する副社長、リサ・ジャクソン氏。

写真は2016年3月のiPhone SE/iPad Proが発表されたイベントにおいて、地球環境問題についてスピーチするジャクソン氏。100%再生可能エネルギーでの企業活動の実現や、iPhoneの解体・リサイクル用ロボットを披露するなど、グローバル企業として社会的な活動へいかに取り組んでいくかを舵取りしている人物です。

10年目のキャンペーンでは12月1日からの6日間、世界400店舗以上のApple直営店で、リンゴのロゴマークを赤く装飾してキャンペーンをアピールします。日本では、表参道、銀座、名古屋栄、心斎橋、福岡天神で実施されます。

またオンライン、小売店、アプリでApple Payを通じて行われる決済ごとに1ドル、最大100万ドルまでをグローバルファンドに寄付する新たなプログラムを発表しました。製品の購買だけでなく、決済プラットホームでのチャリティーへの参加は新たな取り組みです。

加えて、App Storeを赤い特別な装飾とし、アプリ開発者に対してアイコンを赤くしたり、人気のあるゲーム開発者が参加して、REDキャンペーンに合わせた特別なアイテム課金を行う #GamesForRED を展開します。期間中のアイテム課金は、全額、グローバルファンドに寄付され、多くのゲームで、手に入れたアイテムはキャンペーン修了後も、手元に残しておくことができるそうです。

#GamesForRED の顔ぶれ

App Storeのキャンペーンイメージ(提供 Apple)
App Storeのキャンペーンイメージ(提供 Apple)

REDキャンペーンに参加するゲームは、Angry Birds 2FarmVilleCandy Crush Jelly SagaSimCity BuildItといったおなじみのタイトルから、米国のティーンに大人気のストーリーテリングアプリEpisode、YouTuber育成ゲームPewDiePie’s Tuber Simulatorなどの新しいゲームも含まれます。

個人的には、Zyngaのレースゲーム「CSR Racing 2」で19.99ドルで購入できるブガッティ・シロンのREDモデルが気になります。担当者によると、REDキャンペーンに先駆けて、ブガッティに話を持っていき、同社のデザイナーが直々に、REDモデルの外装・内装のデザインを起こした特別モデルが収録されるそうです。

また、EAのFIFA Mobileで、ユニフォームにREDのロゴが入ってプレーさせることができる点も、本当にチャリティー試合が行われているようで良いですね。

App Storeを開くと、専用のコーナーが用意されているので、アクセスすることで、キャンペーン参加アプリを見つけることができます。

また、既に入っているアプリがキャンペーンに参加していれば、アップデートでアプリアイコンは赤くなります。普段のホーム画面が1週間のキャンペーン期間中だけ赤くなると、人によってはガラッと雰囲気が変わったホーム画面になっているかもしれません。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

松村太郎の「情報通信文化論」

税込330円/月初月無料投稿頻度:月4回程度(不定期)

米国カリフォルニア州バークレー在住の松村太郎が、東京・米国西海岸の2つの視点から、テクノロジーやカルチャーの今とこれからを分かりやすく読み解きます。毎回のテーマは、モバイル、ソーシャルなどのテクノロジービジネス、日本と米国西海岸が関係するカルチャー、これらが多面的に関連するライフスタイルなど、双方の生活者の視点でご紹介します。テーマのリクエストも受け付けています。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

松村太郎の最近の記事