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佐村河内守氏と渡辺喜美氏の傲慢な共通点

田代真人編集執筆者

みんなの党元代表、渡辺喜美氏が化粧品会社DHCの創業者より8億円を借りた騒動について、渡辺喜美氏は自身が代表の座を降りることによって事態の収束を図ろうとした。だが、新代表浅尾慶一郎氏は、渡辺氏の妻の口座もチェックする方針というから、まだまだ騒動は終わりそうにない。まぁ、政治資金規正法を考慮すると、法的にもグレーゾーンであり、簡単に終わらせるべき問題ではないだろう。

さて、それはそうと、そもそもこの事件、いや事件にはまだなっていないので事象といったほうがいいだろうか、この事象の発端はDHCの吉田嘉明会長が週刊新潮に手記を発表したことである。言ってみれば「バレた」わけである。隠していたのにバレた。

ここだけみれば、例の佐村河内氏の事件、いやこれも事象か、この事象と同じである。佐村河内氏も「バレた」。隠していたのにバレたわけだ。なぜバレたかというと、パートナーがバラしたから。

両者の共通点は、信頼していた、というか絶対バラさないと思っていた相棒が自身を裏切ってバラしてしまったことだ。パートナーがばらさなければ、いまごろ両者ともに涼しい顔して、ゆったりと日常を過ごしていたはずなのに。

では、なぜパートナーはバラしてしまったのだろうか? バラしてしまうとそれぞれ、パートナーが窮地に追い込まれるのはわかっているにもかかわらずバラした。

単純に考えれば相手が窮地に追い込まれようがどうでもいいからバラしたに過ぎない。所詮他人事なのだ。そう考えると、以前だれかが言った言葉が思い出される。

「他人と過去は変えられない」

つまりは他人のことなどコントロールできないのだ。実は、信頼などということよりも、問題はここにあった。つまりは、佐村河内氏も渡辺氏も、他人をコントロールできると思っていたわけである。

他人をコントロールできないと思えば、バレてしまえば自分自身が窮地に追い込まれること、存在自体が危ぶまれること、など自身の生殺与奪権を他人に渡したりはしない。自分に都合よく他人は動く、と思っている傲慢な考えが、今回の事象を引き起こしたのである。

佐村河内氏は新垣氏にお金を渡しているのでバラすこともないと思っていたのかもしれない。が、渡辺氏に至っては、お金をもらっているほうだ。これでバレることがないと思っていること自体が傲慢、というよりも、むしろ呑気と言ったほうがいいだろう。

まぁ、佐村河内氏に関しては特段我々の生活に影響もないのでどうでもいいのだが、渡辺氏に関しては、そうも言ってられないだろう。なんにせよ、他人をコントロールできると思っている傲慢な政治家であること自体がバレたわけだ。

はっきり言って政治家生命を考えても致命的な性癖がバレたわけだから、一兵卒と言ったところで、政治家としてリセットはできないのではなかろうか。

編集執筆者

1963年福岡県出身。86年九州大学工学部卒業後、朝日新聞社入社。その後、学習研究社にてファッション女性誌編集者、ダイヤモンド社にてWebマスター、雑誌編集長、書籍編集などを経て、2007年メディア・ナレッジ設立。代表に就任。出版&電子出版、Webプロデューサー、PRコンサルタントとして活動。現在は、駒沢女子大学教授、桜美林大学非常勤講師を務める。専門は「コミュニケーション」「編集論」。

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