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ケネディ前駐日大使、トランプ大統領の外交政策に憂慮示す

立岩陽一郎InFact編集長
東京で日米安保について語る米国のケネディ前駐日大使(写真:つのだよしお/アフロ)

オバマ政権下で駐日大使として約3年を日本で過ごしたキャロライン・ケネディさんが米NBCテレビの朝のニュース番組「TODAY」に出演し、トランプ大統領の全てに米国が優先するという外交政策について「憂慮している」と話した。

ケネディ前大使はトランプ大統領が就任前に発した、全ての大使は大統領就任式前に離任するようにという指示に従って米国に帰国。

キャスターの質問に日本での経験が外交官としての自分を育ててくれたと話した。この中で、キャスターから、トランプ大統領が在日米軍の負担を日本側に求めることについてどう思うかと問われ、「日本は既に駐留経費の70%を負担している」と述べて、批判が的外れだとの認識を示した。

(参考記事:トランプの米国とどう向き合うか? (10)~トランプ次期大統領に同盟国防衛で有力紙が苦言? )

また、就任式で話した「America first」という考え方が外交の場でどう見られるのかと問われ、次のように話した。

「日本や韓国が米国の安全保障に多大な貢献をしていることについて、また豪州が米国と一緒に戦っていることについて、それを当然視したり、辱めたりすることを憂慮します。私としては、大統領が、アジア太平洋地域の同盟国、友人とともに行動することが米国の利益であることに気づいてくれることを望みます」

ケネディ前大使は、女性大使としてのあなたの存在が日本の女性に良い影響を与えたと思うかと問われ、「日本の女性は米国の女性がそうであるように活動的です」と話した。

(参考記事:トランプの米国とどう向き合うか? )

ケネディ前大使は次の上院選挙に出ることが取りざたされており、民主党関係者から強い要望が有るとされる。それについて問われ、「まだ帰国して間もない。久しぶりの本国を楽しんでいる」と話したが、上院選挙への出馬については否定しなかった。

InFact編集長

InFact編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。1991年一橋大学卒業。放送大学大学院修士課程修了。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクに従事し、政府が随意契約を恣意的に使っている実態を暴き随意契約原則禁止のきっかけを作ったほか、大阪の印刷会社で化学物質を原因とした胆管癌被害が発生していることをスクープ。「パナマ文書」取材に中心的に関わった後にNHKを退職。著書に「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」、「NHK記者がNHKを取材した」、「ファクトチェック・ニッポン」、「トランプ王国の素顔」など多数。日刊ゲンダイにコラムを連載中。

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