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グッチがクールな基金で日本のジャズ文化を後押し

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

JUJU:グッチの「音楽基金」大使に就任 会見で「Take Five」を初披露

歌手のJUJUさんが22日、若くて才能のある音楽家を見いだし育成する基金「グッチ タイムピーシズ & ジュエリー日本音楽基金」のアンバサダー(大使)に就任し、その発表会見でジャズナンバー「Take Five」を初披露した。

出典:JUJU:グッチの「音楽基金」大使に就任 会見で「Take Five」を初披露|毎日jp

TVドラマ「TAKE FIVE~俺たちは愛を盗めるか~」(TBS系列)の劇中歌に使われている「テイク・ファイヴ」という曲。

ウエスト・コースト・ジャズを代表するアルト・サックス奏者のポール・デスモンドが作曲し、彼がメンバーだったデイヴ・ブルーベック・クァルテットが1959年に発表したアルバム『タイム・アウト』に収録されました。

4分の5拍子という変拍子とエキゾチックなメロディが、それまでのジャズのイメージを一新させるものと評価され、以降も多くのミュージシャンにカヴァーされています。

この劇中歌を歌うのはJUJU。ジャズ・シンガーを志していたことを公言し、2008年には遊学先だったニューヨークで凱旋ライヴも行ない、2011年にはジャズのスタンダード曲を中心に構成したアルバム『DELICIOUS』をリリースしています。

そんな彼女が、この難易度の高いヴォーカル・ナンバーに挑んだのは、タイアップ以上のチャレンジ的な意味合いがあったのではないかと思うのです。

グッチグループ 日本の若手音楽家を支援する音楽基金設立

グッチのウォッチ部門・グッチ タイムピーシズ&ジュエリーは、若手音楽家の発掘・育成のための基金「グッチ タイムピーシズ&ジュエリー日本音楽基金」を設立した。

グッチ タイムピーシズ&ジュエリー音楽基金の設立は、2012年の中国、2013年4月の英国に次ぎ、日本が3カ国目。日本では、東京・国立音楽大学の在学生が支援対象となる。

出典:グッチグループ 日本の若手音楽家を支援する音楽基金設立|アパレルウェブ.com

さて、話題のJUJUが登場して「テイク・ファイヴ」を歌ったイヴェント、「グッチ タイムピーシズ&ジュエリー日本音楽基金」の設立記念発表会の概略を伝える記事はこちらです。

一般紙の視点ではJUJUのニュース・ヴァリューが高く(彼女が6月にリリースする新作『DELICIOUS~JUJU's 2nd Dish~』の宣伝というニュアンスが強く感じられますね)、あまり基金のことに触れられていませんでした。

こちらの記事を読むと、日本のジャズ文化の発展への貢献が大いに期待される、心強い内容の基金が設立されたことを知ることができます。

企業市民としてのグッチ・グループの姿勢を高く評価するとともに、奨学生が成長して活躍してくれる日を楽しみにしたいと思います。

♪JUJU Official YouTube Channel

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JUJU Official YouTube Channel

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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