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[訃報]「ザ・ギフト」のヒットでもお馴染みの歌手イーディ・ゴーメさん逝去

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家
イーディ・ゴーメ『恋はボサノヴァ』ジャケット写真
イーディ・ゴーメ『恋はボサノヴァ』ジャケット写真

主に1950年代から70年代にかけて活躍した女性シンガーのイーディ・ゴーメさんが亡くなりました。享年84歳でした。

Eydie Gorme, a popular nightclub and television singer as a solo act and as a team with her husband, Steve Lawrence, has died. She was 84.

出典:Popular singer Eydie Gorme dies at 84|FOX NEWS.COM

アメリカでの報道は“ポピュラー・シンガー”、1960年代後半にはトリオ・ロス・パンチョスと共演するなど、スペイン語によるパフォーマンスでも知られる歌手でした。

一方で日本では「ザ・ギフト」がヒットし、ボサノヴァのリズムにのせた朗々たる歌声が人気の“ジャズ歌手”という認識が強いのではないでしょうか。

「ザ・ギフト」は彼女が1963年にリリースした『Blame It on the Bossa Nova(邦題:恋はボサノヴァ)』に収録された曲で、オリジナルは1959年にブラジルのジャルマ・フェヘイラという人が作曲したボサノヴァ作品。ポルトガル語の歌詞を英訳してイーディ・ゴーメさんが歌いヒットした、というわけです。

日本でこの曲が注目されたのは1980年代後半。JT(日本たばこ産業株式会社)のテレビCMに起用され、お茶の間にも広く彼女が歌うボサノヴァが浸透していったのです。

彼女自身はウィスパリングでのスロー・バラードから声を張ったリズミックなナンバーまで広いレパートリーをこなすエンタテイナー。確かにジャズの枠に収めるにはちょっと無理があるけれど、でも確実にジャズやボサノヴァに輝きをもたらしてくれた逸材でした。

ご冥福をお祈りします。

♪Eydie Gorme The Gift!(Recado Bossa Nova)

♪Eydie Gorme & Trio Los Panchos- 1964

♪Eydie Gorme- When The World Was Young- 1967

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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