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[訃報]マンハッタン・トランスファーを結成しヴォーカリーズの発展に尽力したティム・ハウザーさん逝去

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家
ティム・ハウザー『ラブ・ストーリーズ』
ティム・ハウザー『ラブ・ストーリーズ』

アメリカのジャズ・コーラス・グループ“マンハッタン・トランスファー”のリーダー、ティム・ハウザーさんが亡くなられました。享年72歳。

ティム・ハウザーさんは1941年米ニューヨーク生まれ。マンハッタン・トランスファーについては「高度なジャズ・ヴォーカリーズをポップに咀嚼したマンハッタン・トランスファー」で書いているので、そちらを参照してください。

ティム・ハウザーさんの近況については、2013年9月の第12回東京JAZZに出演予定だったところ、急遽来日中止というニュースが届いていました。詳細は以下のとおり。

日本のマンハッタン・トランスファーのファンのみなさま

みなさま、こんにちは。

今日は、大変残念なお知らせがあります。このたび、私ティム・ハウザーはマンハッタン・トランファーの一員として第12回東京JAZZに出演することができなくなってしまいました。

実は6月22日にロサンゼルスのCedars Sinai病院で脊柱の手術を受けました。第2腰椎が折れてしまったため、その置き換えの処置でした。大変デリケートな手術で合計7時間半にも及びました。手術は大成功でしたが、その結果、私はまた一から歩くことを学ばなくてはならなくなってしまったのです。

実に大変でしたが、今日はやっと、杖も歩行器もなしで、長い時間歩くことができ、とてもいい気持ちになりました。

東京JAZZで演奏することをとても楽しみにしていたのですが、医師によると長時間の移動はまだ難しいということで、残念ながら、今回日本へ行くのを断念せざるを得なくなりました。

私の代わりに、M-Pactでおなじみのトリスト・カーレスが、パートナーのアラン、シェリル、ジャニスとともに出演します。

今回は、私自身みなさまにお会いできず、本当に申し訳ありませんが、東京JAZZでのマンハッタン・トランスファーのステージをどうぞ楽しみにしていてください。それではまたお会いできることを楽しみにしています。

引用:第12回 東京JAZZ ティム・ハウザーさんより声明文

詳しい死因は発表されていないようですが、快復して改めて来日する日を待ち望むファンも多かっただけに、残念です。

It is with heavy hearts that we share the news of Tim Hauser’s passing with you all... As many of you know, Tim was the visionary behind The Manhattan Transfer. We spent more than 40 years together singing and making music, traveling the world, and sharing so many special moments throughout our lives... It's incomprehensible to think of this world without him.

We join his loving wife, Barb, his beautiful children, his family, and the rest of the world in mourning the loss of our dear friend and partner in song.

Love,

Janis, Cheryl and Alan

引用:Manhattan Transfer FaceBookページ

ご冥福をお祈りします。

♪サントリーブランデーCM マンハッタン・トランスファー

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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