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【ジャズ前】ヤン・ラングレン・トリオ来日ツアー2016

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画“出掛ける前からジャズ気分”。今回は、ヤン・ラングレン・トリオの来日ツアー。

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“正統派”にして“北欧の貴公子”と称されるジャズ・ピアニスト、ヤン・ラングレン。

彼のトリオが来日する。

ヤン・ラングレン・トリオ
ヤン・ラングレン・トリオ

♪ なぜヤン・ラングレンが“正統派”なのか?

スウェーデン出身のヤン・ラングレンが、ジャズ・ピアノの伝統を継承する“正統派”として位置づけされる評価に対して、アメリカ合衆国(なかでもニューオリンズ)を発祥としてアフリカン・アメリカンの文化を軸として展開させたと信奉する原理主義の人たちは、かなり違和感を感じているかもしれない。

しかし、1940年代からたびたびアメリカ合衆国で行なわれた音楽業界のストライキなどの影響で、仕事を求めて渡欧し、長期滞在したジャズ・ミュージシャンが少なくなかった事実を踏まえると、原理主義であるか否かを問わず、ジャズはビバップの創世記からヨーロッパに流出し、ミラーリングとも呼べる相互補完の関係で発達してきたことは疑うべくもない。

であるならば、ヤン・ラングレンのピアノに感じるリスナーの“正当性”は、一過性のムーヴメントや営業上の惹句などによって煽られたものではないということだ。

♪ トリオの最新形を再現

ヤン・ラングレンの最新作は、彼の公式サイトによれば、2016年2月にリリースされた『MARE NOSTRUM 2』であるようだ。これは、2013年リリースの、イタリアのトランペット奏者パオロ・フレスと、フランス出身のアコーディオン奏者リシャード・ガリアーノという、至高の3人による作品の続編のようだが、今回の来日はラングレン・ファン待望のトリオによる来日。2014年リリースの『FROWERS OF SENEDAI』のレパートリーを中心に、“トリオ・ジャズ”を磨き上げたサウンドにどっぷりと浸ることができるプログラムが用意されているはずだ。

では、行ってきます!

●公演概要 ヤン・ラングレン・トリオ

6月7日(火) 開場19:00/開演20:00

会場:KAMOME(横浜・関内)

6月8日(水) 開場19:00/1sr 開演20:00 2nd 開演21:40

会場:BODY & SOUL(東京・青山)

6月9日(木) 1st 開演19:30 2nd21:15

会場:Mr. Kelly's(大阪・曽根崎新地)

6月12日(日) 受付開始17:30 ディナー18:00

会場:JRタワーホテル日航札幌36階 スカイバンケットルームかいよう(北海道・札幌)

出演:ヤン・ラングレン(ピアノ)、マティアス・スヴェンソン(ベース)、ゾルタン・チョーズ(ドラム)

♪ Jan Lundgren Trio- 01. Parfait Amour (2014)

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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