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【中秋の名月/高級食材】トリュフを尽くした中国料理とは?

東龍グルメジャーナリスト
チャイナルーム

中国料理の高級食材

中国料理の高級食材といえば、どういったものを思い浮かべるでしょうか。

フカヒレ、アワビ、伊勢海老、北京ダック、ツバメの巣、ナマコあたりを挙げる人が多いと思いますが、フランス料理で定番の高級食材であるトリュフを挙げたら驚くのではないでしょうか。

グランド ハイアット 東京「チャイナルーム」
グランド ハイアット 東京「チャイナルーム」

実はトリュフを使った中国料理のコースがあります。「パンケーキはどこまで進化していくのか?」でもご紹介したグランド ハイアット 東京の「チャイナルーム」でオータムトリュフ尽くしのコースが提供されているのです。

フカヒレ以外の強み

オータムトリュフ
オータムトリュフ

チャイナルーム料理長 中里卓氏は「11年目で初めてオータムトリュフのコースを始めた。自然保護の観点からフカヒレを使うことができなくなったことがきっかけ」とトリュフを使う理由を説明し始めます。

「高級な中国料理といえば、フカヒレ料理というイメージがある。そのため、フカヒレを使えなくなって、お客さまが少なくなっているレストランが多い」と話す一方で、「それでもお客さまで賑わっているレストランもある」と話します。

この違いを問うと「フカヒレに頼っているかいないか。フカヒレ以外の強みがあるレストランはお客さまに支持していただいている」と答えます。

秋の味覚にはキノコを

中里氏は「チャイナルームもフカヒレに代わる新しい強みを考えていた。普段から頻繁に訪れている香港でヒントを得た」を切り出し、「香港では、伝統的な中国料理の手法を活かしながら新しいアイディアを取り入れて進化している外資系ホテルや町場のレストランが成功していた」と説明します。

トリュフを使うことに決めたのは「日本人は秋の味覚を大切にする。秋の味覚の代表的な食材はキノコなので、オータムトリュフは必ずご満足いただけると考えた」と振り返ります。

中秋の名月も意識

トリュフを主役に据えたところで、終わったわけではありません。そこから新しい料理の開発が始まります。

「トリュフは夏、秋、冬で香りが異なる。オータムトリュフに相応しいメニューを新しく考案した」とゼロからの創造であったとし、「93席もあるチャイナルームで提供できるだけのオータムトリュフを確保することも簡単ではなかった。東京中を探し回り、ようやく集めることができた」と苦労を語ります。

他の注目どころとしては「中国の秋の名物といえば、中秋の名月。中秋の名月で食べる月餅もコースにお付けしている。香港風の油を使ったあんで本番の味。販売もしていて毎年ご好評をいただいている」と最後まで季節感が溢れる構成であると述べます。

中里氏によるオータムトリュフを使ったコースのメニューをご紹介しましょう。

食前に小さな口福を オータムトリュフの香り豊かな小籠包

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小籠包の汁を少なめにしてトリュフを生かしています。汁はもちろんおいしいですが、トリュフの香りが素晴らしいです。

天然燕の巣とタラバ蟹の旨みとオータムトリュフの香り豊かな宮廷式コラーゲン入りブラウンソース チャイニーズバンズとともに

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バンズは花巻風にしており、燕の巣がたっぷりと使われたスープには、冬瓜の羽衣とタラバ蟹があります。海の滋味に燕の巣が溶け込んでいて、オータムトリュフが品を高めています。

北京ダック サラダ仕立て オータムトリュフの香り豊かな香港式海老餃子赤いバラ仕立ての帆立蒸し餃子を添えて

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蒸し海老餃子にはたくさんのトリュフが包み込まれており、口中がトリュフの香りで一杯になります。帆立蒸し餃子はその赤と形が際立っています。チリソース、黒酢、ラー油で好みの味付けにします。

秋のプレミアムマッシュルームと天然ムキ大エビのオータムトリュフ炒め

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フランス料理で定番のジロール茸、トリュフを使った中華風の炒め物です。大エビとトリュフがよく合います。ジロール茸をソースがない炒め物でいただくのは面白いです。

プレミアム神戸牛サーロインのロースト オータムトリュフとはと麦入り赤ワインソース 京都丹波の黒豆入りマッシュポテト ジャスミン茶で燻製にしたフォアグラのディップとともに

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オータムトリュフを目の前で削ってもらえます。神戸牛は脂の入り方は文句なしで、60gで十分に満足がいくボリューム。トリュフとハト麦入りの赤ワインソースはハチミツが隠し味です。ソースは香りも味もパンチが効いていて、神戸牛に決して負けていません。トップには中国料理らしく、香菜を据えています。添えられたパンはと中華風と洋風の中間くらいの食味と食感というこだわりようです。

プレートはイタリアのラ ポルチェラーナ ビアンカで、カトラリはクリストフル。見た目やテーブルセットは完全にフランス料理です。

神戸牛の坦々しゃぶしゃぶ丼 トリュフ入りスープをかけて

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トリュフの風味が付いた広東ベースのあっさりとした金華ハムのスープを目の前でかけてもらえます。隠し味は台湾の白腐乳。神戸牛はご飯とよく合い、金華ハムのスープで旨味を増しています。食事を締めるのに相応しい体に優しい一品です。

濃厚な黒烏龍茶アイスのオータムトリュフ入り窰出し紹興酒カラメルソース

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トリュフ風味の紹興酒カラメルソースは不思議な味わいです。黒烏龍茶のアイスクリームはとても強いですが、ソースがさらに強く、デザートなのにトリュフの香りが一面に広がります。

月餅と本日のフルーツ

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月餅の自家製あんこは油を加えた香港風です。なめらかな口当たりで、とてもリッチな味わいです。油が加えられていない日本風の月餅に比べると非常にずっしりと満足感があります。

飽くなき追求心

中里氏はヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル「カリュウ」、ウェスティンホテル東京「龍天門」といった名だたる中国料理店で修業し、2003年にチャイナルーム副料理長、2007年に料理長に就任しました。2013年には「美食同源」をテーマとした体に優しいメニューが評価され、東京都知事賞を受賞しています。単に体によい食材を使うだけの表面的なことではなく、効能を最大限に引き出す食べ合わせを創造する追求心が認められた結果です。

中秋節は中国の四大伝統祭りのうちの一つです。日本にも伝わってきて「中秋の名月」と呼ばれ、月を見ながら団子を食べる習慣として定着しました。今年2014年の中秋の名月は9月8日です。

新しく始まったオータムトリュフをふんだんに用いた中国料理のコースは、日本ではまだ珍しいですが、中秋の名月のように定着していくのでしょうか。中里氏によるオータムトリュフの追求心によるところが大きいのかも知れません。

情報

詳しくは公式サイトをご確認ください。

参考

チャイナルームの詳細はレストラン図鑑でもご紹介していますので、ご参考にどうぞ。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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