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「体育会系歓迎」採用はブラック企業の恐れあり

大宮冬洋フリーライター

●今朝の100円ニュース:ただ今 就活中 体育会系に引く手あまた(中日新聞)

性格が素直で元気がある、精神的に強い、礼儀やマナーが身についている。中日新聞によると、就活生が企業にアピールする最大の武器は「体育会の部活経験」らしい。上記の3点に「体力がある」を加えれば、企業が採用したい新卒学生像のできあがりだ。

僕は典型的な「非体育会」の人間だが、体育会の若者に接する機会があると「気持ちいいなあ」と感じる。言葉遣いや気遣いがちゃんとしているし、年上である僕の意見に真っ向から反論することもない。一方的に話しやすいのだ。

非体育会系のほうは面倒くさい。社会人経験もないくせに自意識ばかりが肥大していて、あれこれ口走る。人の話を素直に聞けない。礼儀もなっていない。学生時代の自分を見るようで目を背けたくなる。

しかし、本人の将来を考えると、「自分の頭で考える」という要素は体育会系の人たちにも必要だと思う。この業界や会社は自分の性格や価値観に合っているのだろうか、いま取り組んでいる仕事は何が目的で自分はどんな役割を果たすべきなのか、自分を磨いていくためにはどんな環境に身を置くべきか。ちゃんと考えなくてはいけない。

未熟な考えでもかまわない。自分で下した判断であれば、失敗してもやり直しがきく。「あのときはここが間違っていた。次は気をつけよう」と頭と体が学習するからだ。

自分探しをやり過ぎて行動できないのも問題だが、周囲の雰囲気やブランドに流されて就職活動をするといずれ大きな後悔をすることになるだろう。

はっきり言って、チーム競技の体育会系学生には自分の頭で考えられる人が少ない。「先輩に声をかけられたから」「みんなが行く業界だから」「東証一部上場の有名企業だから」という理由で、ろくな企業分析もせずに就職先を決めていく。

組織プレーには適した人材かもしれない。でも、その組織自体がおかしな方向に走っていたらどうするのか。自分の頭で考えて軌道修正をする努力をしなければならない。改善が無理ならば、体調を崩す前に転職すべきだ。そのときに体育会の先輩や企業ブランドは何の役にも立たない。

性格が素直で元気がある、精神的に強い、礼儀やマナーが身についている……。これらの要素だけを重視して採用活動をし、「自分なりの価値観や判断能力のある個人」などは求めない会社があるとしたら、それは間違いなくブラック企業だ。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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