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遠来の客に喜んでもらえるか。お金ではなくプライドの問題だ

大宮冬洋フリーライター

●今朝の100円ニュース:来日外国人1000万人確実(読売新聞)

東京に滞在していると、外国人観光客らしき人たちと頻繁にすれ違う。駅などでは複雑な路線図に戸惑っているようだ。「三軒茶屋に行くなら表参道で半蔵門線に乗り換えると楽ですよ。田園都市線と直通運転しています。三茶の美味しい店? 『赤鬼』はいかがですか。珍しい日本酒がたくさんあります。混んでいて入れなかったら…」みたいに声をかけてあげたいこともある。でも、素通りする。英語や中国語に自信がないからだ。

今朝の読売新聞によると、今年の来日外国人数は初めて1000万人を突破する見込みだ。とはいえ、首位のフランス(2012年は8301万人)などに比べるとまだまだ低水準らしい。日本も2030年に3000万人超を目指す。記事では、タイとマレーシアに観光ビザを免除するなど政府の取り組みに加え、外国人による国内消費を狙う民間の動きが紹介されていた。15か国語での接客ができる家電量販店が銀座にオープンしたという。

しかし、個人としては遠方から来た人に対して「お金やモノをくれるからありがたい」という感覚はない。わざわざ来てくれた人に嫌な思いをさせたら申し訳ないし恥ずかしい、という気持ちになるだけだ。暇なときなら東京案内ぐらい無料でしてあげるし、調子に乗って一杯ごちそうしてしまうかもしれない。

この感覚が強くなったのは、昨年に愛知県蒲郡市という小さな町に移り住んでからだ。東京の友人たちは「今度行くよ」と言ってくれるけれど、実際にやって来たのは10人に1人ぐらい。新幹線を使えば東京駅から2時間ほどで来られるのに……。

だからこそ、来てくれた人にはできる限りのことをしてあげたい。低い山と静かな海に囲まれ、探せば素敵な店もある蒲郡を好きになってほしい。せめて「がまごおり」という読み方だけは覚えて帰ってね。

僕のような感覚は多くの日本人が持っている気がする。特に地方都市で友人知人に会うと「フル接待」を受けることが多い。道を聞いただけの見知らぬ人に親切にしてもらうこともある。

観光客からのお金を必要としているのは一部のサービス業に限られている。輸出と国内経済で生計を立てられているその他大勢の僕たちは「お客さんに喜んでもらいたい。また来てほしい」という気持ちしかない。日本国民や蒲郡市民としてのプライドの問題だ。

日本は国際貿易のおかげで十分に経済発展したのだから、空港の出発カウンターで気の利いたお土産を渡すぐらいのサービスは税金を使って政府が実施してほしい。観光客の人数を追うよりも質の高い日本ファンを地道に増やすほうが国益にかなうと思う。

今度、道に迷っている外国人を見かけたら「ご案内しましょうか?」と日本語で話しかけてみようかな。身振り手振りで道案内ぐらいはできるだろうし、学生時代に学んだ英語や中国語を少しは思い出せるかもしれない。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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