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男はやっぱりミキティが好き。安藤美姫こそフィギュアの女王だ

大宮冬洋フリーライター

●今朝の100円ニュース:安藤が引退表明(中日新聞)

愛知でスポーツと言えば中日ドラゴンズ、そして女子フィギュアスケートである。昨日の全日本選手権最終日では、愛知県出身の鈴木明子、浅田真央、村上佳菜子の3選手がソチ五輪代表に選ばれた。地元紙である中日新聞は、「フィギュア女子代表 愛知勢独占」と社会面で喜びを露わにする。村上選手の「すっごいうれしい」というコメントが大見出し。共感しまくりだ。

3選手の活躍は確かに素晴らしい。でも、僕は7位で終わって五輪代表入りも逃して引退を表明した安藤美姫選手に強く惹きつけられた。絶頂と挫折をともに経験し、バッシングに耐え、出産を経て競技に復帰した安藤選手。現役最後と覚悟して臨んだ演技だったという。 

全盛期には遠く及ばない演技内容と結果だったものの、安藤選手は現役生活で「今日が一番うれしい」と語った。伸び盛りの村上選手の「すっごいうれしい」とは意味が違う。体力の限界を感じ、激しい疲労を覚えながらも、フィギュアスケートへの感謝と愛情が溢れたのだろう。

わずか数年前までの安藤選手は傲慢なほどのパワーに輝いていた。テレビのバラエティ番組で「どんなに回転しても目が回らない」と豪語していたのを思い出す。ずば抜けた体力とセンスに加えて、あのルックス。特に男性はゾクゾクするような色気を感じると思う。というか、僕は感じる。「ミキティ」といえば藤本美貴ではなく安藤美姫だ。

スケートリンクの観客席を見ると、フィギュアスケートのファンは圧倒的に女性が多いことがわかる。フィギュアに技巧だけでなく美しさを求めているのは女性ファンも男性ファンも変わらない。ただし、女性の視点は「清々しい見た目と態度」「若々しくかわいらしい表情」などに集中している気がする。一昨日からテレビを食い入るように見ている妻は「真央ちゃんを嫌いな人は誰もいないと思う」と言ったり、顔をくしゃくしゃにして喜ぶ村上選手にもらい泣きをしていた。

僕は主張したい。美しさにおいては安藤美姫こそがフィギュアの女王である、と。容姿だけではなく今というタイミングの問題だ。懸命の演技を終え、疲れと喜びが混ざり合ったような表情で、「うれしい」「幸せです」とテレビカメラの前で繰り返していた安藤選手。かつての傲慢さはまったく感じなかった。

かといって、謙虚さを装ったわけでもないと思う。現役を退くことを自分で決めて、言いようのない寂しさと感謝の気持ちがこみ上げてきたのだろう。その姿は、好きなものに取り組んでやがて立ち去る人間への共感を呼び起こす。同時に、最高の美しさと哀しみに似た色気を感じずにはいられない。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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