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無差別殺傷は駅内か駅前で突然起こる。そのとき誰と何をしているか

大宮冬洋フリーライター

●今朝の100円ニュース:歩道に車突入 13人けが(中日新聞)

君子危うきに近寄らず、というけれど、安全なはずの歩道を歩いていて乗用車が突っ込んで来たら反省のしようがない。昨日発生した名古屋駅前での無差別殺傷事件では、13人のけが人が出た。死者がいなかったことは不幸中の幸いだと思う。

中日新聞によると、大野木亮太容疑者(30歳)は「超がつくほどまじめ」な性格だったが、「頭を打って頭部をけがしてから、精神状態がおかしい。今も定職につけていない」と近所の人に明かしていたらしい。自暴自棄になって犯行に及んだのだろう。

誌面には近年の「主な無差別殺傷事件」が年表になって掲載されていた。そのうち、大阪府池田市の小学校と広島県のマツダ工場内で起きた事件は「無差別」とは言えない。むしろ池田小の児童とマツダ社員を他と「差別」して狙っている。

本当の無差別殺傷事件は、駅もしくは駅前ばかりで起きていることがわかる。お互いに無関係な人が多く集まり、セキュリティーチェックもなく、車でも近づける場所は他にあまりないので狙われやすいのかもしれない。

犯人はいずれも男性だ。将来への希望をなくした(と思い込んだ)男性が「どうせ死ぬなら道連れを作ろう」という身勝手な発想で暴走し、車や包丁といった武器を手にすると多くの人を殺傷できてしまう。

恐ろしいことだけど防ぎようがない。今後、経済のグローバル化がさらに進んで所得の格差が開いて固定化していくと、社会への憎悪を募らせた若い男性が己れの身体能力を無差別殺傷に注力して「最後の憂さ晴らし」をするケースが増えていく気がする。

電車や繁華街を利用せずに暮らしていくことは難しい。歩道に突っ込んで来た車をパッと避ける身体能力も僕にはない。どうすればいいのだろうか。

用もないのに駅前というか人混みに近づかない、という対処策しか思いつかない。もちろん、買い物や友だちとの遊びも立派な用事だ。もしも何らかの事件や事故に巻き込まれても、「あの店でしか買えないものがあった」「あいつに久しぶりに会いたかった」と納得できる気がする。

一方で、気が進まない飲み会なのに暇だから出かけて、大きな事件の被害に遭ったらどうか。人生最後の日に会っていたのがお金のために嫌々やっている仕事での不快な取引先だったりしたら……。

健康な体で自由に出歩ける日々はいつか終わる。唐突に終わるかもしれない。だからこそ、プライベートでは好きな人とだけ親しく付き合い、仕事でも嫌いではないことだけをして生きていきたい。実現と継続は難しいのはわかっている。運と努力をその一点に向けて注ぎたいと思う。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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