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地味な強みで一点突破! 山口真由『努力が99%報われる25のヒント』が教える「天才でない人の成功法」

大宮冬洋フリーライター

自分の強みを知り、それを生かせる場に身を移す――。自信とゆとりを持って社会生活を送るためのコツはこの一文に尽きるのだが、実践するのは難しい。世間的な「成功」や「カッコいい働き方」などが頭に染みついているため、自分自身の姿を冷静に見つめ直すことは至難の業だからだ。

挫折や大失敗などのショック療法を受けると、一瞬だけ「現状ではどんなにがんばっても空回りする自分」や「本心では別の仕事や生活に心惹かれている自分」に気づいたりする。原点に立ち戻り、軌道修正をするチャンスだ。例えば、大組織のチームプレーと社内政治がどうにも苦手でうつ状態に陥った人が実家の自営業を継いで大いに活躍する、というケースもある。

しかし、今まで追い求めてきた理想像を捨てるのは悲しいし、未知の分野や場所に飛び込むのは怖い。多くの人は、不完全燃焼感を抱える現状に甘んじ続ける。そして、「強み」をフルに発揮できる場に行けないまま年老いていく。

山口真由さんの新刊『努力が99%報われる25のヒント』(小学館)を読んで、筆者は前述の思いを強くした。東大在学中に司法試験と国家1種試験に合格し、法学部を首席で卒業して財務省に入り、現在は弁護士として活動している山口さんだが、実は不得意なこと(弱み)も多く、天才型ではないことが綴られている。

<もともと私は、何かの基礎を築き、それに基づいて自分のペースでやっていくということが、性に合っていたのだと思います。

「7回読み勉強法」がまさにそうでしたし、財務省でも、書類をまとめるといった地道な作業のほうが、会議で発言するより、ずっと好きだし、得意でした。>

そして、上下関係が絶対である官僚の世界よりも、一人ひとりがプロフェッショナルとして法律に則った仕事を遂行する弁護士事務所のほうが自分の強みを発揮できると判断し、転職をする。この判断と行動ができた理由として、山口さんは中学生時代から抱えてきた数多くのコンプレックスを挙げている。

<思うに、コンプレックス過多の人間だったせいで、私は「自分にできることは何か」「自信を持ってやれることは何か」について考えることを、他の人よりも膨大に時間をかけて、何度も何度もやってきたのだと思います。

その結果、「自分の強みは、ルーティンの作業を、なるべく正確に、飽くことなく繰り返すこと」だという結論に、すでに辿り着いていました。>

適当な自己探求では、このような「カッコ良くない強み」に辿り着くことはできない。もっと華やかで「センスで生きている」自分でありたいと思うのが普通だからだ。

受験と仕事に関しては、山口さんは地味な「強み」を徹底的に活用・応用することで人生を切り拓いてきたことがわかる。ただし、この強みは恋愛には通用しないとわかったことも同書にちゃんと書かれていて笑える。

山口さんは決して器用な人ではなく、天才でもない。自分を冷静に見つめる賢さと、唯一の強みで「一点突破」を図る勇気があっただけだ。この事実は、天才ではない我々への温かい励ましである。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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