Yahoo!ニュース

モテない人は一本釣り。モテる人は底引き網漁。どちらがいい?

大宮冬洋フリーライター

「ずっと恋人がいません。私はどうしてモテないんでしょうか? 厳しくてもいいので指摘してください!」

筆者は東京・西荻窪と愛知・蒲郡のいずれかで読者との交流飲み会「スナック大宮」を毎月開催している。先月の愛知開催で通算50回目を迎え、のべ1000人以上の読者と飲み交わした計算になる。

お客さんは多種多様だが、最も多いのは筆者の同世代(30代後半から40代前半)の独身男女だ。職場での責任としがらみが増している年代であり、社内でぶっちゃけ話をしたり恋愛をするわけにはいかなくなっている。時間と気持ちにゆとりがあるときにスナック大宮に遊びに来て、利害関係のない筆者や他の客に本音をぶつけ、ちょっとさっぱりした顔で帰っていく。

冒頭のセリフは男女双方から毎回のように投げかけられる「本音」である。筆者自身もモテない部類に入るので、有効かつ具体的なアドバイスはできない。ただし、取材と遊びを通して毎日のように同世代と飲み交わしているので、モテる人とモテない人の違いはなんとなくわかるようになった。

まずモテの定義が必要だ。酒場で話題に出るようなモテ男やモテ女とは、幼馴染と結婚して円満な家庭生活を営んでいる男性や恋愛感情よりも生活の安定を優先させて一回りも年上のおじさんと結婚した女性ではない。既婚未婚を問わず、常に恋人がいる男女、場合によっては複数の恋人(セフレを含む)がいる男女が「モテる」と見なされる。それが正しいか否かはここでは問わない。

このようなモテ男女の特徴はほとんど一つしかない。自分に好意がある異性を見逃さず、底引き網漁のように総ざらいしていく。以上である。実際に付き合ったり結婚したりする相手は獲れた「魚」の中で選んでいるが、間違えてしまっても問題はない。また底引き網を持って漁に出ればいいだけだ。

冒頭のように「モテない」と自覚している男女と比較するとわかりやすい。彼らは「出会いがない」とは言いながらも、自分に好意を寄せている異性には関心を持たないことが多い。好意に気づかないこともあるが、もしわかっていたとしてもスルーしてしまう。そして、明らかに自分に特別な感情は持っていない異性(既婚者であることも多い)を追いかけたりする。まだ見ぬ大物を求めて一本釣り漁を続けているようなものだ。

なぜ底引き網漁ができないのか。自信のなさとプライドの高さが矛盾しながらも自分の中に混在しているからだと思う。「自分は愛されて当然だ」とは思えず、自分を好きになってくれる人はなんとなくブサイクに見えてしまう。そして、手が届かないところでクールに振る舞っているように見える人に憧れることで現実逃避をするのだ。

八つ当たり気味に言えば、モテる男女には節操もプライドもない。罪悪感すらない。どんな小さな魚でもどんどん網に入れて持って行ってしまう。だからこそ彼らはいつも満たされていて、その明るさと幸福感がさらなるモテを呼んだりする。特に同性からは激しく嫌われることもあるが、彼らはまったく意に介さない。

彼らを嫌いながらも心のどこかでうらやましさを感じてしまうのは、我々も所詮は動物だからなのかもしれない。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

あなたを結婚させたい! オネット&マチコの超実践的婚活道場

税込2,970円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

大宮冬洋が自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる、お見合いおじさん活動「オネット」(大宮ネットワーク)の舞台裏をご紹介。オネット会員の匿名のプロフィールやお見合いの様子、成婚&退会者インタビューのほか、チームメンバーの婚活講師マチコ先生による婚活必勝アドバイスもお届けします。また、本連載の購読者は無料オプションとして、会員とのお見合いを希望することもできます。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

大宮冬洋の最近の記事