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40代で本気で結婚したい女性がすべきこと~連載インタビュー(8)Repre代表・村木大介さん~

大宮冬洋フリーライター
自らは37歳のときに「奇跡の出会い」をして結婚したと語る村木さん

「私はいま40歳です。結婚相手を見つけるのは大変だとはわかっています。でも、婚活をがんばっているんです。『あきらめろ』なんて言わないでください」

ある女性から抗議をされた。筆者が本連載で書いた「結婚のあきらめ適齢期。女性は39歳、男性は44歳で婚活をやめて自由になろう」を読んだらしい。ちょっと冷たい印象を受ける内容だったかもしれない。お詫びというわけではないが、識者を訪ね歩いて「40代の女性が本気で結婚したくなったらどうすればいいのか」を考えていきたい。

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世にも恐ろしいデータがある。結婚相談所大手のIBJが3年前に公表したもので、お見合い決定件数をお見合い申し込み件数で割った「お見合い快諾率」は、男女ともに1割未満だというのだ。女性の場合は20代後半ではかろうじて1割を超えるが、40~44歳はなんと6.2%。100人に申し込んでも6人としか会えない計算になる。こちらが相手に求める条件次第では、お見合い決定件数は限りなくゼロに近づくだろう。データマッチングの厳しい現実である。

筆者は婚活中のアラフォー女性にインタビューする機会が多い。「結婚相談所に登録しても同世代の男性を紹介してもらえない。こちらから申し込んでも断られ続けて落ち込んでしまう」との嘆きをよく聞く。就職活動で苦労した経験がある人ならば彼女たちの悲しみや屈辱感を少しは理解できるはずだ。少なくとも筆者は、10人に申し込んで9人から会うことすら「お断り」されたら心が折れてしまう。

結婚相談所のビジネスを邪魔するつもりはない。しかし、確実に紹介できる結婚相手候補が2、3人はいる環境でなければ、高額の料金を取ることに無理があるのではないだろうか。40代で婚活をする人は注意をしなければならないと思う。

入会金や月会費を取らず、お見合いが成立したり成婚をした際の報酬でやりくりをしているユニークな結婚相談所が東京・新宿にある。2013年に創業したこの若い会社ならばぶっちゃけ話を聞かせてくれるかもしれない。Repre (リプレ)代表の村木大介氏に会いに行った。

――56000人以上の登録会員を抱えるIBJの公表データをどう思いますか?

すごく正直な会社だな、と思います。婚活中の人がこの現実を知ったらショックを受けるかもしれませんが、どの規模の結婚相談所でも同じような数字を持っているはずです。

ベンチャー企業である当社にはいま160人ほどの会員がいて、そのうち女性が100人を超えています。男女比に偏りがあることも影響して、会員様同士のお見合いが組めるのは月に70件程度です。新規入会の方は月に3件ぐらいのお見合いが組めたりするので、既存会員の半数ぐらいは月に1回もお見合いができていないことになります。

希望する人には、他の多くの結婚相談所と同じく、IBJのネットワークに有料でアクセスできるサービスを提供しています。当社では月に200人まで申し込めるようにしていますが、実際には「お断り」されることがほとんどです。「かなりのお断りはされますが頑張ってお申込みしてください。千人申し込んで一人も会えないことはないですから」と会員様を励ましています。

――お見合いすらできないのでは入会金や月会費をもらうのは心苦しくなりそうですね。

当社も創業して最初の2年間は84000円の入会金と12000円の月会費をもらっていました。何十人も連続でお見合いを断られて凹んでやめていく人が多く、私としても心が痛かったのです。この仕事のやり方はおかしい、と思って昨年7月から入会金および月会費を無料にしました。実際にお見合いが組めたら料金をいただくシステムが、会員様のストレスにならないだろうと思ったからです。入会希望者には面談のうえで会員登録してもらいます。

30代後半以降の女性はボリュームゾーンであり、なおかつお見合いを組むことが難しいのが現実です。「今すぐに紹介できる男性はいません。後からいい男性が入会したらもちろん紹介します」と伝えたうえで入会を検討してもらう場合もあります。入会後、お見合いが組めない日が続くと、「いい人はいないんですか?」と問い合わせを受けることはありますよ。ただ、お金をいただいているわけではないので、会員様のストレスも軽減されていると思います。私自身の気持ちも楽になりました(笑)。

――Repre の会員で、40代の女性で成婚された人はいますか?

残念ながらまだいません。40代女性の会員様は7名いるので、私もがんばっている最中です。

当社でも、お見合い相手に希望する条件はちゃんと聞いています。ただし、私は年齢や年収などの数字はあまり重視しません。その人の性格や生活観などを考慮したうえで、「条件にはぴったり合わないけれど、いい人なので一度会ってみませんか?」と双方にお見合いを勧めることがあります。

――データマッチングの場合、40代の女性は年齢条件でお見合い相手から外されやすいのが現実です。アナログの結婚相談所ではチャンスがある、ということですね。

女性の30代後半と40代前半を分けることにはあまり意味がありません。30代40代の男性は「子どもが欲しいから」という理由で30代前半までの女性とのお見合いを希望することがほとんどだからです。30代後半以降の女性は、40代の女性と同じぐらい婚活に苦労すると思ったほうがいいでしょう。

その中で、2つの成功例があります。ともに39歳で結婚を決めた女性会員です。Aさんは38歳のときに入会しました。見た目はごく普通の女性です。相手の男性には「同い年から下」であることを絶対条件として求めました。50代はおろか40代もNGなのです。もちろん、お見合いを断られまくることは覚悟していました。

IBJのネットワークを使って1年間に700人以上の30代男性に申し込みをしました。お見合いができたのは5人だけです。それでもAさんはあきらめませんでした。ネットだけではなく、様々な婚活パーティーにも根気よく行き続けたのです。

8歳年下の旦那さんを見つけたのは、神奈川県の某市にある個人経営の飲食店が主催した小さな婚活パーティーです。よくそんなパーティーを見つけましたな、と感心したことを覚えています。

Aさんは東京から単身で乗り込み、市内からほとんど出たことのない「マイルドヤンキー」な彼を押し倒す勢いで口説き、ついに結婚に至りました。左手薬指の結婚指輪を私に見せてくれたときの彼女の誇らしげな笑顔を忘れられません。

――アラサーの男性は婚活を本気ですればモテますが、実生活ではモテた経験がないのが普通ですよね。婚活初期の段階でAさんのような猛者にアタックされたら、あれこれ考える間もなく婚約するかもしれませんね。

39歳で成婚したもう一人の女性会員であるBさんは、ややエリートな会社員です。見た目は年相応で、すごく若く見える美人なわけではありません。ただし、非常に寛容で明るい方です。

Bさんは、同じく当社の会員である男性とのお見合いで結婚を決めました。なんとお互いに1人目のお見合いです。相手の男性は、イケメンの金融マンでまだ40歳という好条件なのですが、仕事や趣味に熱中するあまり2度も離婚した過去があります。婚活市場においては「バツ2」は痛恨事です。入会して3か月間はお見合いを組むことができませんでした。

私は入会したばかりのBさんに、「こういうカッコいい男性会員がいるよ。バツ2だけど」と紹介しました。すると彼女は敬遠することなく、「一度会ってみます」と言ってくれたのです。そして、2人は意気投合しました。

「彼は後がない。私と別れたらバツ3になっちゃうから。まだバツ0の私のほうが結婚生活は優位に立てる!」

Bさんはこんなことを言って笑っています。大らかな女性なのです。

村木さんが成功例として挙げてくれた2人の女性には異なる美徳が見つかる。Aさんには、何十人何百人から断られてもたった1人の結婚相手を探し続ける「打たれ強さ」があることだ。もちろん、年齢以外の希望条件は大いに譲歩したことだろう。

Bさんは、限られた紹介人数の中で結婚相手を見つけられる判断力を持っていた。その根底には、自分を卑下もせず過大評価もしない健全な自信があるはずだ。そして、「愛し合うことさえできれば、結婚生活はうまくいく。過去は問わない」という前向きさがあった。

「30代後半以降の女性はAさんかBさんの道を選ばなければ婚活は難しいでしょう。でも、実行できる人はほとんどいないと感じています。結婚相談所を営む私がこんなことを言っていいのかわかりませんが、婚活はせずに奇跡を待つのも人生だと思います」

業界大手のIBJを正直な会社だと評する村木さん。彼自身も面白いほど率直な男性だと筆者は感じている。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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