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イチロー、「戦力的重要度を維持しての日米通算ローズ超え、3000本安打となれば価値は高い」

豊浦彰太郎Baseball Writer
戦力的価値を維持した状態であれば偉業達成の価値も高まると言うものだ(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

イチローの安打量産に俄然ドライブが掛かってきた。現地23日のレイズ戦でも4安打を放ち、これでスタメン出場が続いている21日以降の3試合で10本の固め打ちだ。通算安打は2960本で、3000本へあと40本とし、日米通算でのピート・ローズのメジャー記録4256安打へは18本とそろそろカウントダウン状態になってきた。

今季は打撃好調も5月中旬まではスタメン出場が限られ、今季中の3000本到達を危ぶむ声もあったが、ここに来て一気に状況が変わった。記録達成は、依然として彼の調子自体よりも現在腰の違和感を訴えスタメンを離れているレギュラーのクリスチャン・イエリッチの体調によると考えるべきだが、23日の試合終了時点で打率4割を大きく超える(.417)打棒には期待も高まろうと言うものだ。

日米通算でのローズ超えにせよ、 メジャー3000本にせよ、この手の通算記録はその選手の過去の蓄積を讃えるものだ。言い換えれば、達成した瞬間が偉大なのではなく、そこまでの地道な積み重ねが報われる瞬間なのだ。したがって、記録達成の時点ではその選手は全盛期を過ぎているのが普通で、それは決して恥ずべきことではない。しかし、戦力的重要性が少しでも高く維持されていれば、その分記録の価値は高まるというものだ。

昨季のようなよれよれの状態のままでも、日米通算での4256本超えや3000本安打達成も十二分に偉大なことなのだけれど、打率3割を維持できなくなってからすで5年も経過しているだけに、それでは彼の全盛期を知るファンは忸怩たる部分もあるはずだ。

もちろん、長いシーズンのためここから先調子を落とすこともあるだろう。しかし、久しぶりに溌剌とした状態で2つの偉業を達成することになれば、ファンにはそれに勝る冥利はない。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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