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CS地元開催の可能性を残すDeNA 引退する三浦大輔を称えるのは登板より盛大なセレモニーで

豊浦彰太郎Baseball Writer

今季限りでの引退を表明しているDeNAベイスターズ三浦大輔の引退登板が、29日の今季最終戦にリスケされたようだ。クライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージ開催権の可能性を辛うじて残す同球団のこの判断は残念だ。

今年もこの時期がやってきた。引退が決定している選手に特別に出場機会が与えられ、打者であれ投手であれ、対戦相手から手心を加えられた対応を受けるのだ。ぼくは、このようなある意味での「無気力対決」に大いに憤慨しているのだが、多くのファンは素直に受け入れている。

三浦の登板がリスケされるのは、22日に開催予定だった地元でのヤクルト戦が雨天中止となり、29日に組み込まれたからだ。当初は彼のラスト登板は24日のハマスタでの巨人戦の予定だったが、本拠地ラストゲームの予定が変わったので、彼の花道もそれに連動したということだ。

しかし、ベイスターズは本日時点で残り4ゲームで2位の巨人と3.5ゲーム差だ。しかも、巨人は7ゲームも残している。相当苦しいとは言え、逆転できればCSファーストステージはハマスタでの開催となる。

2位か3位かはしょせん興行権の問題でしょ、という意見もあると思う。しかし、ベイは今季主催試合では34勝26敗1分と大きく勝ち越しているのに対し、アウェイでは26勝36敗2分だ。なのに、この時点であっさり、今季最終戦に真剣勝負以外の要素を入れて良いのか?少なくとも引退の予定がなかったら(違う言い方をするなら、実力本位なら)、その日の三浦の登板は残念ながらありえなかったと思う。

「打者1人くらい」という見方もあるかもしれないが、結果的にそれが勝利を左右する可能性もあるし、そもそもこれはフィロソフィーの問題だ(CS開催県の問題がなかったとしても、公式戦に真剣勝負以外の要素が入り込むことを良しとしないが)。

アレックス・ラミレス監督は、NPBでの現役最終年2013年の10月、当時の中畑清監督からスタメン4番ライトでの花道出場をオファーされながら、それを断っている。おそらく、出場機会はあくまで実力本位、またはチームの利益第1の方針に沿って決められるべきだと考えたのだと思う。今回の三浦起用の決定は、営業サイドからの要請を断れなかったからか、それとも自身の信条を他人に強いることを良しとしなかったからか。

引退の花道への考え方は多様でも良いと思う。しかし、毎年繰り返す(ぼくに言わせれば)ペナントレースの尊厳を傷つける選手起用や無気力勝負に疑問を呈する声も、多少は上がるべきだと思う。毎年、引退試合のあり方を非難し多くの反対意見をいただいているが、今年も敢えて言いたい。

ぼくは、三浦大輔の功績を讃えるには最終戦の試合前に立派なセレモニーを開催し、送り出してあげれば良いと思う。彼ほどの投手が、お情けで三振してもらうシーンはむしろ見たくない。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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