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【スーパー耐久】第3戦・鈴鹿での戦いはナイトラン後のゴール!未知数の4時間はバトル満載だ。

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
夕闇迫る中を走行するスーパー耐久のマシン

自動車レースの「スーパー耐久シリーズ2016」の第3戦が6月11日(土)12日(日)に鈴鹿サーキット(三重県)で開催される。今回の鈴鹿でのレースは決勝レースの出場権をかけた予選レースともいえる「セカンドチャンス100」を11日(土)に開催するほか、12日(日)の決勝レースは通常の短時間レースよりも1時間長い4時間の耐久レース。さらにそのチェッカーフラッグが振られる時刻は19時15分となっており、夕闇の中でレースはクライマックスを迎えるという特別な方式で行われる。シリーズの行方を左右するかもしれない波乱が数多く起こりそうな1戦だ。

まさにサバイバルな戦い

今シーズンの「スーパー耐久」は年間でのエントリー台数が65台という活況ぶりで、これまでの2戦は全クラス合わせて60台以上がエントリーし、レースを戦っている。

開幕戦のツインリンクもてぎ(栃木県)では5時間の決勝レースに全62台のマシンが出場。自動車レースで60台を超えるマシンが出場するというのは稀なことだが、コース幅が広く、ランオフエリア(コース外の敷地)が広いツインリンクもてぎでは1度もセーフィティカーが導入されることなく無事にレースがフィニッシュした。

そして第2戦・スポーツランド菅生(宮城県)ではスピード域の低いST-4クラス、ST-5クラスが土曜日に3時間耐久レースを開催し、日曜日にはスピード域の高いST-X、ST-1、ST-2、ST-3クラスの3時間耐久レースが開催。2グループに分けられ、土日の両日開催となった決勝レースはそれぞれに見所の多い戦いとなった。

鈴鹿でテスト走行を行うスーパー耐久のマシン
鈴鹿でテスト走行を行うスーパー耐久のマシン

今季の「スーパー耐久」は全6戦のレース形式が1戦毎に異なっている。今回の鈴鹿では先述のように11日(土)に決勝出場枠をかけた「セカンドチャンス100」という100分の予選レースが開催されることになっている。最高峰のST-Xクラス(FIA-GT3マシン)とST-1クラス(排気量3500cc以上)のクラスは全マシンが自動的に決勝に駒を進めることができるが、ST-2クラス以下のクラスに関しては予選落ちの危機がある。計時予選で各クラスのトップ3台に入れば決勝に進めるが、4位以下は100分のレースを勝ち抜かなければならないという厳しい戦いだ。決勝に出場できる最大台数は45台となっており、15台が予選落ちをすることになってしまうため、失敗が許されず全く気が抜けない戦いとなる。

ナイトランは初体験のドライバーも多い

決勝へのシード権を持っているマシンと予選通過マシン、合計45台が4時間の耐久レースに挑むわけだが、この4時間というレース時間がなかなか曲者だ。「スーパー耐久」はレース中に最低2回のピットインが義務付けられている。クラスによっては燃費が厳しく3回のピットインを余儀なくされることになり、チームごとにピットインのタイミングが別れてくるだろう。また全クラス混走ということで、アクシデントの際にはセーフティーカー導入も充分に考えられるため、バリエーションをもった戦略とチームの総合力が多いに試される1戦になるだろう。

様々なスピード域の車両が混走するスーパー耐久。夜間走行の時間まで何台が残れるか?
様々なスピード域の車両が混走するスーパー耐久。夜間走行の時間まで何台が残れるか?

また、今回は「スーパー耐久」では久々の夜間走行が行われる。12日(日)の決勝レースは19時15分の予定。実際にチェッカーフラッグが振られる時間は19時15分〜17分と考えられる。日の入りは19時8分のため、最後の数周は夜間走行となり、夕闇迫る鈴鹿サーキットで完走を目指してドライバー達は集中しなくてはならない。夕刻の西日もドライバー達にとっては厄介な敵だ。

夜間走行の時間は僅かだが、「スーパー耐久」としては2008年の「十勝24時間レース」(十勝スピードウェイ)以来8年ぶりのことであり、夜間のレース走行は久しぶりというドライバーも多い。海外の24時間レースなどを経験している慣れたドライバーをアンカーに起用するチームは底力を見せてくれるだろう。

鈴鹿での「スーパー耐久」は例年、最後の最後までバトルが続くことが多く、夕刻の時間に複数のクラスでトップ争いが勃発する可能性が高い。特に「トヨタ86」「ホンダS2000」などが鎬を削るST-4クラスは最後の最後までの激戦が予想される。まさに全チーム、全ドライバーが未体験ゾーンでのゴールを迎える戦いとなる。最後に笑うのはいったいどのマシンだろうか。大逆転シーンが見れることも期待したい。

ST-4クラス、52号車のトヨタ86には脇阪寿一も乗る。
ST-4クラス、52号車のトヨタ86には脇阪寿一も乗る。

近藤真彦監督率いるKondo Racing3連勝なるか?

「スーパー耐久」は各クラス見所が満載だが、総合優勝を争うST-XクラスはKondo Racing(監督:近藤真彦)の「#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-R」が開幕から貫禄の2連勝を達成し、波に乗っている。

近藤真彦監督率いる#3 スリーボンド日産自動車大学校GT-R
近藤真彦監督率いる#3 スリーボンド日産自動車大学校GT-R

このチームは「ニッサンGT-R GT3」を使用し、その2015年モデルは今季のST-Xクラスを席巻している。ポテンシャルの高さは証明済みのGT-Rは鈴鹿でもかなり速そう。さらにプラチナドライバー認定を受けてチームを率いる藤井誠暢(ふじい・とものぶ)、ジェントルマンドライバーで安定した速さでレース関係者を驚かせる内田優大(うちだ・ゆうだい)、そしてSUPER GTでも活躍する平峰一貴(ひらみね・かずき)とドライバー3人の速さは申し分なし。今回も力強い走りで近藤監督を笑顔にさせることができるだろうか。少なくともランキング首位はキープしてシーズンを折り返したいところだ。

シリーズランキング2位は「#3 ENDLESS ADVAN GT-R」(YUKE TANIGUCHI、峰尾恭輔、山内英輝)そして3位は「#5 MACH MAKERS GTNET GT-R」(白井剛、星野一樹、藤波清斗)とFIA-GT3車両で争うST-XクラスはニッサンGT-Rがトップ3を占める。そこにフェラーリ488GT3、メルセデスSLS AMG GT3、BMW Z4 GT3、ポルシェ911GT3、アウディR8 LMS Ultraなどの外国車も虎視眈々、鈴鹿での優勝を狙っている。蒸し暑い6月の鈴鹿、そして刻一刻と変わるコンディション、夜間走行などドラマを生み出す不確定要素がいっぱいの鈴鹿での戦い。ここで競り勝ち、シリーズの流れをつかんでいくのはどのチームだろうか。

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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