IBM、マイクロソフト…中国PM2.5は「商機」いろんな企業が攻めている

(写真:ロイター/アフロ)

PM2.5で広がる影響

中国の大気汚染の影響が広がっています。12月に入って北京では、これまで見られなかった最高レベルの赤色警報が2度も出された他、クリスマスにはPM2.5の視界不良で220本以上のフライトがキャンセルされました。日本のメディア報道が減った今週に入ってからも現地では重汚染が出ているのに加え、福岡や熊本などでも国の環境基準値を超える影響を受けており、大晦日の夜には九州や四国でも非常に多くなると見られています(週間予報)。

多くの人は迷惑な話だと考えるかもしれませんが、これを商機、つまりビジネスチャンスと捉えた動きがあちこちで見られ、報じられるようになってきています。

中国国内でPM2.5が観測の対象になったのは2012年で、中国国内の関心が高まり始めたのはその後のことです。まず個人の対策として、マスク、そして空気清浄機が売れましたが、実際に動いていたのは外国人や健康意識の高い富裕層などが中心でした。それが一般市民にまで広がったのがこの1年ほどの変化です。マスクに関しては、売上にして前年比何倍という高い伸びを示す数値があちこちで見られ、高機能を謳う外国製品の偽物が大量に見つかり摘発されるほど普及しています。

赤色警報が出ると、学校が休校になり、車の利用が規制されることなどもあって生活自体が大きな制限を受けます。必然的に家の中にいる時間も長くなる。それによって出前・配送サービスの利用が急増しているというニュースもあります。

注目商品と取組み

国際的に注目された「冗談のような本当の話」は、カナダ・ロッキー山脈の新鮮な空気を缶詰にした「空気缶」(150回呼吸できるもの1本約2,500円)が飛ぶように売れているというものです。

珍妙なモノはいろいろ出てきていて、空気清浄機付きの帽子(約17,000円)や運動施設としての利用を想定したPM2.5の濃度を低い状態におさえる巨大テント(建設費約2億円、北京だけで9つの学校で導入)、巨大なスプレーで霧を噴射して空気中の汚染物質と結合させて地面に落とす「スモッグ砲」なども出てきました。

また、健康への配慮から、個人だけでなく企業の中にもオフィスの空気をクリーンに保つために多額のコストをかけるところが増えてきました。空気清浄設備を整え、PM2.5の数値が常に分かるようにしてスタッフの心配を軽減に努めているのです。こうした流れを受けて、対策を支援する屋内環境コンサルティング会社などが急成長しています。

PM2.5予測に乗り出したIBMとマイクロソフト

そして数日前に複数のメディアで報じられたのは、IBMとマイクロソフトがPM2.5の汚染予報事業に本格参入したという情報でした。

北京で開催が決まった2022年の冬季五輪に向けて、とりわけ冬に発生の多いPM2.5の対策を加速させるだろうという期待もあり、また、高まり続ける国民の関心を受けて、より正確で長期的な予測のニーズが高まるだろうというわけで、すでに二社とも中国の公的機関と契約をして研究をはじめているとのこと。

巨大IT企業が取り組むのは、天候や交通、地上の活動をもとにコンピュータが自分で予測するモデルを作りつつ、実際の観測データやソーシャルメディア上のつぶやきなども一緒に判断して、10日先までの予報を生み出そうとするもの。中国の他、大気汚染の激しいインドや南アフリカでも同様に活動を進めるといいます。

なお、日本の気象衛星ひまわり8号でも、これまで困難とされていたPM2.5の観測が進められているようで、今後、予測の精度向上をめざすとのことです。

「PM2.5には大きなビジネスチャンスがある」

「健康意識が高まっているため、人々はきれいな空気や環境を得るために喜んでお金を使う」

1年前、PM2.5の取材で訪れた北京のビジネススクール長江商学院のアンソニー・リウ教授からそんな話を聞いたのですが、まさにそこで語られていたような具体例があちこちで見られるようになっています。

その時に聞いてきた話をまとめた動画を最後に紹介しておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=nptMGdPf8xs

ビジネスチャンスとしての中国・大気汚染PM2.5(金曜動画ショー)

PM2.5の問題、解決までに20年とも30年とも言われる一方で、ある意味で対策ニーズが顕在化し始めたばかりですから、早い段階で取り組みを進められたところが新しい市場を一気におさえるのかもしれないと注目しています。