不倫騒動中のベッキーのテレビ出演は「教育上よくない」のか? かつてのたけしの回答
ゲスの極み乙女。のボーカル・川谷絵音との不倫騒動の渦中にいるベッキーがついに民放の全レギュラーテレビ番組の出演を休止することになったと報じられた。
この措置や騒動に対し芸能界からは様々な反応が寄せられている。
たとえば1月31日の『ワイドナショー』(フジテレビ)では、松本人志は以下のように語った。
また同日の『サンデー・ジャポン』(TBS)で爆笑問題の太田光はこう語る。
さらに『アッコにおまかせ!』(TBS)の和田アキ子はこのように述べている。
他にも勝俣州和が「真相は分からないけど、えらく大変なことになっている。早く元気なベッキーになって戻ってきてほしい」とエールを送ったり、北島三郎が「かわいそうだね。いい子だし、かわいい子だし、オレがどうだこうだということじゃないけど、つつかれるみたいに書かれるのはつらいよね。頑張ってほしいな」と激励したり、中尾彬が「好きなことやったんだから同情しない!」と切り捨てたりと反応は様々だ。
「騒動について子供にどう説明すればいいんだ」
一方、ベッキーが出演している番組では、活動休止の前に収録済みのものもあり、それらの一部は、そのまま放送された。
すると、この記事によるとある番組には10分でクレーム1000件殺到するという異常事態が起こったという。
こうした批判に「子供」を持ち出すのは、どうなんだろうとか、逆に子供へ清廉潔白なものだけを見せるのは果たして教育上よいのだろうかという疑問はさておき、このようなクレームを読んで思い起こされる会見がある。
それは「フライデー事件」を起こしたビートたけしの会見である。
このとき、たけしは事件後、保釈された後に、テレビ収録を行い大きな批判を浴びた。
念のため「フライデー事件」の詳細をご存じない人のために事件を簡単に説明すると、当時、ビートたけしと不倫関係のあった愛人に対する写真週刊誌『FRIDAY』の強引で執拗な取材方法に腹を立てたビートたけしが、たけし軍団を引き連れ『FRIDAY』編集部に殴り込み、編集部員に対し暴行を加えたという事件である。そもそもの引き金はベッキー騒動同様、“不倫”だったのだ。
事件以降の経緯は以下のとおりである。
86年12月9日(事件当日)
・午前3時頃 事件発生、直後にたけしとたけし軍団11名が逮捕。
・午後5時 たけしら12人、犯罪の事実を認め反省、逃亡の恐れもないため釈放。
・午後8時 『たけしのスポーツ大将』がテレビ朝日で放送。「おことわり。この番組は11月4日に収録したものです」のテロップが流れる。
(事件翌日以降)
10日~ 各局ワイドショーが事件を取り上げる。概ね写真週刊誌批判が強いたけし擁護の論調。
14日、『天才・たけしの元気が出るテレビ』がテロップ付きで放送。
それまで、ワイドショー等を見た視聴者からの意見は「たけし支持」が圧倒的であったが、この日の放送中から変化し始める。番組が始まると局には電話が殺到。
15日、たけし事件後初めて、日本テレビ『天才・たけしの元気が出るテレビ』28日放送分の収録に参加。支持と抗議の比率が初めて逆転する。
16日、たけしと軍団、テレビ朝日『たけしのスポーツ大将スペシャル』の収録に参加。抗議優位の傾向が強まる。
17日、『オレたちひょうきん族』の収録が予定されていたが、たけしは過労を理由に取りやめる。
(参考:朝倉喬司:著、筑紫哲也:監修『たけし事件―怒りと響き』太田出版)
このとき寄せられた抗議の多くが現在のベッキーに対するものと同様、「教育上よくない」というものだった。
「親と子の対話の中で言えばいい」
こうした流れの中で22日に事件後初めて正式に行われたのがビートたけしの会見である。
事件について「同じ自由ならプライベートを守る自由と言うものがあるわけで、それに対して具体的に行動に出た」と説明し、その“行動”が「暴力を使ったり、たけし軍団というのを一緒に連れて行ったことに関しては、非常に反省しております」と語ったうえで、事件後も番組収録に参加したことについて「芸能人だから、仕事をくれれば行く。テレビ局がいらないといえば、いかないだけ」と述べた。
そして「子供への影響」について尋ねられると毅然とこう語った。
さらに改めて「子供たちにどう説明したらいいか困っている親に対して一言」と問われてたけしは繰り返して言う。
もちろん、ベッキーの件とフライデー事件とは、時代も状況もまったく違う。
留意しなければならない点も数多いだろう。
だが、自分がテレビに出ることが「教育上よくない」という回答に対するたけしの答えは極めて明確だ。
テレビを見て「悪いことをした人だ」と子供に親が教えればいいだけの話だ。もしそこに何らかの矛盾や問題があるとすればそれは社会の矛盾を教えることができるいい機会ではないか。むしろ、最上級の教材のはずなのだ。
『ホンダラ行進曲』はこのように歌われている。