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ヤンキースのキャプテン、ジーターが最後にプレーするのは、レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パーク

宇根夏樹ベースボール・ライター

ニューヨーク・ヤンキースのキャプテン、デレク・ジーターがメジャーリーガーとしてのキャリアに別れを告げる日が近づいてきた。彼が最後にプレーする姿は、ピンストライプではなく、グレーのユニフォームになりそうだ。

2013年限りで選手生活を終えたマリアーノ・リベラは、ピンストライプのユニフォームを着て、最後のマウンドに立った。その後、ヤンキースはヒューストンで3試合を行ったが、リベラは「もう終わった」と語り、登板しなかった。ヤンキースがポストシーズンに出場する可能性は、リベラが最終登板をする前日に潰えていた。

2014年のヤンキースも、レギュラーシーズンをアウェーで終える。最後の2カードのうち、9月22日からボルティモア・オリオールズと対戦する4連戦はホーム開催だが、続いて26日からボストン・レッドソックスと戦う3連戦は、レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークで行われる。

ヤンキースのプレーオフ出場は、2014年も風前の灯となっている。ボストンへ行く前に消滅しているかもしれない。そうなれば(たぶん、そうなっているだろう)、ジーターをポストシーズンに出場させるために欠場させるべきかという、パラドックスのような状況は回避される。ジーターの後半戦のスラッシュラインは.215/.259/.273(9月18日時点)。打率、出塁率、長打率のいずれも、ア・リーグで200打席以上に立っている54選手の下から2番目だ。

最後はピンストライプのユニフォームか、グレーのユニフォームか。あとはジーターの気持ち次第だが、答はもう出ている。

9月3日に、ボストン・グローブ紙のダン・ショーネシーは「デレク・ジーターはレッドソックスのファンにさよならを言うだろうか?」と題した記事を発表した。ショーネシーは「バンビーノの呪い」というフレーズを世に広めた人物だ。その記事によれば、ショーネシーは9月2日にジーターとこんなやりとりを交わしたという。

「ヤンキースがポストシーズンに出場する可能性が9月25日までに消えたら、ボストンでプレーしないこともあり得る?」「仮定の話はしないんだ」「健康なら、ボストンでの試合に出場する?」「当然そうするさ」

リベラとジーター、どちらが最後の姿としてふさわしいということではないと思う。投手と野手の違いもあるし、対戦するのがアストロズとレッドソックスでは意味合いも異なる。ヤンキースとレッドソックスのライバル関係については言うまでもないだろう。ジーターはフェンウェイ・パークで、レギュラーシーズンの142試合とポストシーズンの9試合に出場している。これは両方とも、ジーターがプレーしたアウェーの球場では最も多い。

9月28日。ジーターはグレーのユニフォームを着てフェンウェイ・パークのフィールドに立ち、最後のプレーをする(はずだ)。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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