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ジャンカルロ・スタントンは史上初の3億ドル・プレーヤーだが、2015年のチーム最高年俸ではない

宇根夏樹ベースボール・ライター

2014年11月19日、ジャンカルロ・スタントンがマイアミ・マーリンズと13年3億2500万ドルの延長契約を交わし、メジャーリーグ初の3億ドル・プレーヤーとなった。

年平均にすれば2500万ドルだが、各年ごとの年俸は均一ではない。最初の3年間、2015~17年(25~27歳)の年俸はそれぞれ650万ドル、900万ドル、1450万ドル。2015年は2014年と同額だ。2014年のマーリンズでは650万ドルでも最高年俸だったが、本気でチームを強くする気持ちがあるのなら(オーナーのジェフリー・ローリアがそう思っているかどうかには常に疑問がつきまとう)、2015~17年のスタントンの年俸は総予算を圧迫するほどの高額ではない。

その後、スタントンの年俸は、2018年(28歳)が2500万ドル、19~20年(29~30歳)は各2600万ドル、21~22年(31~32歳)は各2900万ドル、23~25年(33~35歳)は各3200万ドルと上がっていき、26年(36歳)は2900万ドル、27年(37歳)は2500万ドルとやや下がる。28年(38歳)は2500万ドルの球団オプションで、マーリンズは1000万ドルを支払えば破棄できる。総額の3億2500万ドルは、マーリンズが球団オプションを破棄する際の1000万ドルを含めたものだ。

また、スタントンは契約にオプト・アウトできる権利を盛り込んでいる。行使できるのは、契約6年目が終わった2020年のオフ。スタントンは6年1億700万ドル(年平均1783万ドル)を手にした時点で、残りの7年2億1800万ドル(年平均3114万ドル)を破棄してFAになることができる。現時点で見る限り、31歳を迎えるスタントンがオプト・アウトする可能性は低そうだが、今から6年後に、スタントン自身だけでなくマーケットがどうなっているかを予測するのは難しい。

かつて、10年2億5200万ドルの契約を持っていたアレックス・ロドリゲス(ニューヨーク・ヤンキース)は、7年目が終わったところでオプト・アウトの権利を行使し、FAとなって10年2億7500万ドルでヤンキースと再契約した。他にも、契約に入れておいたオプト・アプトを行使する(あるいは行使をちらつかせる)ことで、より高額な契約を得た選手はいる。田中将大がヤンキースと交わした7年1億5500万ドルの契約にも、4年目が終わった時点でオプト・アウトできる条項が含まれている。

さらに、スタントンの契約にはトレード拒否権やアウォード受賞で得られるボーナスが付帯していて、指定数のシーズン・チケットや貴賓席を購入できる権利もある。総額の1%はマーリンズが行うチャリティに寄付されるという。

ちなみに、2015年のマーリンズで最も年俸の高い選手はスタントンではない。今後、もっと高年俸で契約する選手が出てくるかもしれないが、2014年11月21日の時点では、メジャーリーグで最も長い14文字のラストネームを持つジャロッド・サルタラマッキアがトップだ。サルティ(名前が長いのでこう表記する方が便利)は2013年12月にマーリンズと3年2100万ドルの契約を交わしており、2015年の年俸は700万ドルでスタントンより50万ドル高い。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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