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6月にメジャーデビューした選手が1ヵ月前の試合に出場し、故障者リストにいた投手はセーブを記録

宇根夏樹ベースボール・ライター

2014年5月22日のサンフランシスコ・ジャイアンツ対コロラド・ロッキーズには、この年にメジャーデビューした6選手が出場した。しかし、彼らのうち、ロッキーズの2番手として投げたトミー・ケインリーを除く5人のメジャーデビューは、これより後の日付だった。例えば、ジャイアンツのジョー・パニックは1ヵ月後の6月21日に、アリゾナ・ダイヤモンドバックス戦でメジャーリーガーとしてのキャリアのスタートを切った。

5月22日の試合は、6回裏2死一塁の場面で、雨によって続行できなくなった。スコアは2対2の同点。3連戦の最終カードだったため、この試合の続きは、ジャイアンツが再びクアーズ・フィールドを訪れた9月1日に、最初から組まれていた試合の前に行われた。両チームは6月と8月にも対戦したが、この時はいずれもジャイアンツのホーム・ゲームだった。

メジャーデビューよりも前の試合に記録を残した選手は、彼らが最初ではない。バリー・ボンズは1986年5月30日にメジャーデビューしたが、同年4月20日の試合に代打として出場し、ヒットを打って決勝点を挙げた。この時は8月11日に続きが行われ、試合が再開した延長14回裏から登板したバリー・ジョーンズは、7月18日のメジャーデビューながら、この4月20日の試合でメジャーリーグ初勝利を記録した。

他にも、数ヵ月を経て試合の続きを行うと、こんなことも起きる。2014年5月22日に試合が中断した時、ジャイアンツのマウンドにはデビッド・ハフがいた。降板はしていないので、再開した試合で引き続き投げることもできるはずだった。けれども、ハフは6月にニューヨーク・ヤンキースへ移籍し、ジャイアンツの選手ではなくなっていた(ハフは今年1月にロサンゼルス・ドジャースへ移った)。

また、この試合でセーブを挙げたジャイアンツのサンティアゴ・カシーヤは、5月22日には故障者リストに入っていた。一方、カシーヤとは逆に、ロッキーズではケインリーやトロイ・トゥロウィツキら、5月22日の試合に出場したものの、続きが行われた時に故障者リスト入りしている選手が4人もいた。

今シーズンは、4月24日のカンザスシティ・ロイヤルズ対シカゴ・ホワイトソックスが、9回表が始まる直前に2対2のまま雨天中断となった。ただ、この試合の続きは2日後に行われたため、残念ながら(?)混乱を招くような記録は生まれなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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