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ノーヒッターに縁のある捕手とない捕手。ルイーズは4試合でマスクの一方、出場2000試合で皆無の捕手も

宇根夏樹ベースボール・ライター
カルロス・ルイーズ(フィラデルフィア・フィリーズ)May 23, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

7月25日のノーヒッターで主役を演じたのは、言うまでもなく、マウンドにいたコール・ハメルズ(フィラデルフィア・フィリーズ)だった(こちらに関しては「ハメルズが演じたノーヒッターは移籍前の置き土産か。ニックネームからすると新天地はドジャースがぴったり」で書いた)。だが、ホームプレートの後ろでハメルズをリードした、カルロス・ルイーズの存在も忘れてはならない。ルイーズがマスクをかぶったノーヒッターは、これが4試合目。ジェイソン・バリテックが持つメジャーリーグ記録に肩を並べた。

バリテックはボストン・レッドソックスで15年間プレーし、野茂英雄(2001年4月4日)、デレク・ロウ(2002年4月27日)、クレイ・バックホルツ(2007年9月1日)、ジョン・レスター(2008年5月19日)がノーヒッターを達成した試合でマスクをかぶった。ルイーズはフィリーズ一筋に過ごしてきて、今シーズンがメジャーリーグ10年目。これまでにノーヒッターを演出したのは、ロイ・ハラデイが2010年のレギュラーシーズン(5月29日/完全試合)とポストシーズン(10月6日)で達成した2試合と、2014年9月1日にハメルズ、ジェイク・ディークマンケン・ジャイルズジョナサン・パペルボンの4投手がつないだ試合だった。

2000試合以上でマスクをかぶった捕手は5人いるが、そのなかでノーヒッターをリードした試合が最も多いイバン・ロドリゲスですら、出場2427試合のうち2試合に過ぎない。カールトン・フィスクに至っては、レッドソックスで11年間(1969年、1971~80年)、シカゴ・ホワイトソックスで13年間(1981~93年)プレーし、イバンに次ぐ2226試合に捕手として出場したものの、そこにノーヒッターでマスクをかぶった試合はなかった。

レッドソックスで野茂の前にノーヒッターを演じたのは1965年9月16日のデーブ・モアヘッドで、フィスクがプレーしていた時期はその間だった。ホワイトソックスの投手はフィスクの在籍時にノーヒッターを2度達成したが、フィスクはどちらの試合にも出ていなかった。ジョー・カウリーが投げた1986年9月19日――3者連続の与四球に犠牲フライを打たれて1失点――は故障していて、ウィルソン・アルバレスが登板した1991年8月11日は休養日だった。

一方、フィスクが出場した試合で対戦チームがノーヒッターを達成したことは3度ある。バリテックとルイーズは皆無だ。ジョシュ・ベケットがフィリーズを相手にノーヒッターを演じた2014年5月25日の試合に、ルイーズは出場していなかった。この前日と翌日の試合に、ルイーズは出ていた。ここまでくると、巡り合わせ以外の何物でもない。

現役の捕手で、ノーヒッターを演出した試合がルイーズに次いで多いのは、バスター・ポージー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)だ。マット・ケイン(2012年6月13日/完全試合)、ティム・リンスカム(2013年7月13日)、クリス・ヘストン(2015年6月9日)がノーヒッターを達成した試合でマスクをかぶっている。4年間でノーヒッター3度の捕手は、メジャーリーグ史上、ポージー以外に存在しない。36歳のルイーズに対し、ポージーは28歳。一塁手に専念することがなければ、ルイーズとバリテックの記録を塗り替えるかもしれない。リンスカムがキャリア2度目のノーヒッターを演じた2014年6月25日にも、ポージーは一塁手として4安打を放っている。

なお、ノーラン・ライアンが達成した7度のノーヒッターは、すべて違う捕手が投球を受けた。サンディ・コーファックスの4年連続ノーヒッターは、1962年と1963年の捕手がジョニー・ローズボロ、1964年はダグ・カミリ、1965年はジェフ・トーボーグだった。ただ、トーボーグはライアンの最初のノーヒッターでもマスクをかぶり、コーファックスとライアンの間には、ビル・シンガーのノーヒッターでもホームプレートの後ろで球を受けた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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