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2015年のMLBを振り返る(1)ノーヒッター:「セブンス・ヘブン」に2度関わった投手は2人

宇根夏樹ベースボール・ライター
マックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)OCTOBER 3, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

2015年のメジャーリーグでは、7度のノーヒッターが達成された。これは、1990年、1991年、2012年と並び、20世紀以降の年間最多だ。過去の3年はいずれも継投ノーヒッターを含んでいたが、2015年は7度とも1人の投手が投げきった。また、1991年は完全試合が1度、2012年は3度あったものの、2015年はなかった。完全試合は、2012年8月のフェリックス・ヘルナンデス(シアトル・マリナーズ)を最後に途絶えている。

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ただ、2015年にマックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)が成し遂げた2度のノーヒッターのうち、1度目は完全試合まで1アウトに迫った。9回表2死、カウント2-2からファウルが3球続いた後、シャーザーが投じた球はホゼ・タバタ(ピッツバーグ・パイレーツ)の左肘に当たった。シャーザーは2度目のノーヒッターでも、完全試合に近い投球をした。背負った走者は、三塁手のエラー(悪送球)による1人だった。

同じ年に2度のノーヒッター達成は6人目。シャーザーの前には、ロイ・ハラデイが2010年にレギュラーシーズンとディビジョン・シリーズ(地区シリーズ)で演じている。レギュラーシーズンに限ると、シャーザーのノーヒッター2度は1973年のノーラン・ライアン以来42年ぶりのことだ。

もっとも、2015年のノーヒッター7度のうち2試合に関わった投手は、シャーザーだけではなかった。8月30日にノーヒッターを達成したジェイク・アリエタ(シカゴ・カブス)は、その約1ヵ月前にコール・ハメルズ(当時フィラデルフィア・フィリーズ/現テキサス・レンジャーズ)がノーヒッターを演じた試合にも出場している。この時、アリエタは6回3失点で負け投手となり、3回裏にはハメルズから三振に仕留められたが、次の登板からシーズン終了までは1敗もせず、13先発で11勝を挙げた。その間の防御率は0.57だった。

シャーザーとアリエタの他、2015年のノーヒッター2試合に出場した選手は23人いたが、彼らはいずれも野手だ。チェイス・アトリーはフィリーズとロサンゼルス・ドジャースでプレーし、ハメルズがノーヒッターを達成した時は故障者リストに入っていたが、ドジャースへ移籍してから、マイク・ファイヤーズ(ヒューストン・アストロズ)とアリエタがそれぞれノーヒッターを演じた試合に先発出場した。その1度目――アトリーにとってはドジャース・デビューの試合でもあった――は9回表1死からライトフライに倒れ、2度目は9回裏2死から三振を喫した。この2打席とも、直前に討ち取られたのはジミー・ロリンズだった。アトリーとロリンズは前年までフィリーズでチームメイトとしてプレーしており、2人が揃って出場したノーヒッターは、2015年を含めて6度を数える。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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