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【2015年に引退したメジャーリーガーたち/野手編】ジーターのバットを盗んだ元有望株を覚えている?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルーベン・リベラ NOVEMBER 18, 2012(写真:ロイター/アフロ)

2015年の開幕以降に引退した先発投手救援投手に続き、今回は野手を紹介する。バリー・ボンズの本塁打をもぎ捕った名外野手、デレク・ジーターのバットとグラブを盗んだ元有望株、新人王に輝いたスピードスター、マイナーリーグ最多本塁打のスラッガー、外野手から投手へ転向した選手、首位打者2人、本塁打王など、その顔ぶれはバラエティに富んでいる。

トリ・ハンター

OF 40歳 MLB19年(1997-2015)

2372試合 353本塁打 195盗塁 .277/.331/.461 OPS.793

シーズン終了直後は迷っていたようだが、10月下旬に引退を決めた。ラストイヤーとなった今シーズンは、プロ入りから2007年まで過ごしたミネソタ・ツインズへ戻り、出塁率こそキャリアワーストの.293ながら、11度目の20本塁打以上を記録した。全盛期はセンターを守り、2001年から2009年までゴールドグラブを連続受賞。この9年間、ア・リーグ外野部門の受賞者は、ハンターとイチロー、他1名だった。「スパイダーマン」のニックネームを持ち、2002年のオールスター・ゲームではイチローの隣でバリー・ボンズの本塁打をもぎ捕った。

アラミス・ラミレス

3B 37歳 MLB18年(1998-2015)

2194試合 386本塁打 29盗塁 .283/.341/.492 OPS.833

ラストイヤーであることをシーズン前に表明していた。シーズン25本塁打以上は10度を数え、通算386本塁打と495二塁打はどちらも歴代70位以内。キャリアを通してナ・リーグ中地区でプレーし、2度経験したトレードは、2003年にピッツバーグ・パイレーツからシカゴ・カブスへ移ったのも、2015年にミルウォーキー・ブルワーズからパイレーツへ移籍したのも、7月23日だった。

マイク・ヘスマン

3B/1B 37歳 MLB5年(2003-2010)

109試合 14本塁打 0盗塁 .188/.272/.422 OPS.694

マイナーリーグ通算433本塁打は史上最多。2011年はオリックス・バファローズで48試合に出場し、6本塁打を放った。ちなみに、ヘスマンに追い抜かれたバズ・アーレットは432本塁打。メジャーリーグでプレーしたのは1931年だけながら、18本塁打を打っていて、ヘスマンの通算本塁打を上回る。

ジェイソン・レイン

OF/P 38歳 MLB7年(2002-2014)

500試合 61本塁打 10盗塁 .241/.314/.457 OPS.771

野手としてのメジャーリーグ出場は2007年が最後だが、投手に転向し、2014年に3登板した。大学時代は野手と投手の二刀流だった。ベストシーズンは2005年。ヒューストン・アストロズで26本塁打&OPS.815を記録した。来シーズンはミルウォーキー・ブルワーズでコーチを務める。

マイケル・カダイヤー

OF/IF 36歳 MLB15年(2001-2015)

1536試合 197本塁打 75盗塁 .277/.344/.461 OPS.805

ニューヨーク・メッツとの契約をあと1年残しながら、引退を決めた。来シーズンの年俸は1250万ドルだった。1997年にドラフト全体9位でミネソタ・ツインズに入団。2013年はコロラド・ロッキーズで首位打者を獲得した。2009年の32本塁打を含め、シーズン20本塁打以上は4度。ア・リーグでもナ・リーグでもサイクルヒットを達成しており、これは他にボブ・ワトソンとジョン・オルルードしか成し遂げていない。

ルーベン・リベラ

OF 41歳 MLB9年(1995-2003)

662試合 64本塁打 50盗塁 .216/.307/.393 OPS.701

トップ・プロスペクトながら大成できず、デレク・ジーターのグラブとバットを盗んで売りさばき、ニューヨーク・ヤンキースから解雇されたこともあった。メジャーリーグを去った後はメキシカンリーグで活躍し、シーズン20本塁打以上を8度記録。今シーズンも7月までプレーしていたが、そのチームの打撃コーチに転身した。ちなみに、ベースボール・アメリカによる1995年のプロスペクト・ランキングは、1位がアレックス・ロドリゲス、2位がリベラ、3位がチッパー・ジョーンズ、4位がジーターだった。

マルコ・スクータロ

IF 39歳 MLB13年(2002-2014)

1391試合 77本塁打 55盗塁 .277/.341/.388 OPS.729

バット・コントロールに長け、早打ちというわけではないが、シーズン三振が80に達したことは一度もなかった。6月にサンフランシスコ・ジャイアンツと再契約を結んだが、これは復帰ではなく、ジャイアンツの選手として引退するためだ。2012年の夏にコロラド・ロッキーズからジャイアンツへ移り、61試合で打率.362。リーグ・チャンピオンシップ・シリーズでは28打数14安打とさらに打ちまくり、MVPを受賞した。

ラファエル・ファーカル

SS 37歳 MLB14年(2000-2014)

1614試合 113本塁打 314盗塁 .281/.346/.402 OPS.748

2000年に出塁率.394と40盗塁を記録して新人王に輝き、そこから8年続けて20盗塁以上を稼いだ。1試合4盗塁(2007年)や1試合3三塁打(2002年)に加え、守っては史上12人目の無補殺三重殺(2003年)も記録したものの、盗塁王は獲得できなかった。今シーズンはカンザスシティ・ロイヤルズ傘下のマイナーリーグでプレーしていたが、5月に引退を発表した。

カルロス・ペーニャ

1B 37歳 MLB14年(2001-2014)

1493試合 286本塁打 29盗塁 .232/.346/.462 OPS.808

1998年のドラフト全体10位。三振は多かったものの、パワーと選球眼を兼ね備え、2007~09年にタンパベイ・デビルレイズ(2008年よりレイズ)で計116本塁打を放ち、2009年はマーク・テシェーラとともに本塁打王を獲得した。2014年の夏以降は無所属だったが、今年9月にレイズと一日契約を交わした。2002年は7月初旬までオークランド・アスレティックスでプレー。映画「マネーボール」ではエイドリアン・ベラニ(「バトルシップ」)がペーニャを演じた。

フレディ・サンチェス

2B/3B 38歳 MLB10年(2002-2011)

904試合 48本塁打 13盗塁 .297/.335/.413 OPS.748

ピッツバーグ・パイレーツの控え内野手として開幕した2006年に、リーグ最多の52二塁打を放ち、ミゲル・カブレラを抑えて首位打者を獲得した。2007年以降は二塁に定着し、2010年はサンフランシスコ・ジャイアンツのワールドシリーズ優勝に貢献したが、その翌年、ダイビング・キャッチを試みた際に肩を負傷した。プレーは2012年4月が最後。サンフランシスコ・ジャイアンツ傘下のA+で3試合に出場した。今年12月に引退を報じたESPNのジェリー・クラズニックによれば、近年はカムバックを模索していたが、肩と腰が万全の状態に戻らなかったという。

なお、カルロス・クエンティンは5月に引退を発表したが、カムバックするつもりでいるようだ。11月にCBSスポーツのジョン・ヘイマンが報じている。また、アンドルー・ジョーンズは2014年の東北楽天ゴールデンイーグルスを最後にプレーしていないものの、こちらはSBネイションのクリス・コッティーロによると、2016年にメジャーリーグでプレーすることを望んでいて、オファーがなければ引退するつもりだという。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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