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グリフィーがマリナーズ最初の殿堂入りを果たし、誰もいない球団はエンジェルスなど残りわずかに

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイク・ピアッツァ(左)、ケン・グリフィーJr.(右)(写真:ロイター/アフロ)

殿堂に飾られるケン・グリフィーJr.のプラークは、キャップを後ろ前にしてかぶっている? 

こんな話題が飛び交い、殿堂入りが決まった直後に開かれた記者会見でも、グリフィーはキャップを後ろ前にかぶり直していたが、どうやらそれはないようだ。正しい向きでシアトル・マリナーズのキャップをかぶったプラークが飾られるらしい。これまで、殿堂にマリナーズ・キャップのプラークはなかった。

昨年は、アリゾナ・ダイヤモンドバックスとヒューストン・アストロズのプラークが初登場した。ランディ・ジョンソンクレイグ・ビジオだ。ランディはDバックスよりもマリナーズで長く投げたが、マリナーズ時代のサイ・ヤング賞1度(1995年)に対し、Dバックスでは1999~2002年に4年続けて受賞した。ビジオはアストロズ一筋だった。ちなみに、彼らの前年に殿堂入りしたグレッグ・マダックストニー・ラルーサのプラークは、キャップをかぶっているものの、そこに球団のロゴはついていない。他にも、キャップに球団のロゴがないプラークは、いくつか存在する。

ランディ、ビジオ、グリフィーの殿堂入りによって、キャップをかぶったプラークのない球団はかなり減った。現30球団のうち、残っているのは、ロサンゼルス・エンジェルス、コロラド・ロッキーズ、マイアミ・マーリンズ、タンパベイ・レイズの4球団だ。ワシントン・ナショナルズもそうだが、移転前のモントリオール・エクスポズであれば、アンドレ・ドーソンゲリー・カーターがいる。

ロッキーズ、マーリンズ、レイズは1990年代に生まれた球団なので、プラークがなくても不思議はないが、エンジェルスは違う。今年で56度目のシーズンを迎える。ただ、殿堂にエンジェルスのプラークが飾られるまでには、もうしばらく待つ必要がありそうだ。2000年代にエンジェルスでプレーしたブラディミール・ゲレーロは、来年度から投票にかけられるが、ザ・スポーツ・ネットワークの記事によれば、本人はエクスポズのキャップを希望しているという。ゲレーロが殿堂入りできるかは微妙なところ――個人的には推したい――ながら、キャリアの長さもそこで残した成績も、エクスポズ時代がエンジェルス時代を上回っている。

となると、エンジェルス最初のプラークは、現在ユニフォームを着ている2人、マイク・ソーシア監督かマイク・トラウトか。エンジェルスにはアルバート・プーホルスもいるが、彼のプラークがかぶるのはセントルイス・カーディナルスのキャップだろう。

ソーシアは2000年からエンジェルスで監督を務め、これまでポストシーズンに7度進み、2002年には球団初のワールドシリーズ優勝を果たしている。もっとも、ソーシアの殿堂入りは決まりとまではいかない。確実にするためには、ワールドチャンピオンかリーグ優勝があと1度、ほしいところだ。一方、トラウトは2014年のMVP受賞を含め、ここ4年とも投票2位以内に入り、殿堂への道をまっしぐらに進んでいる。とはいえ、トラウトは24歳で、今シーズンがメジャーリーグ6年目。先はまだまだ長い。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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