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A-RODが来シーズン限りで引退。ベーブ・ルースだけでなくアーロンとボンズの通算本塁打も追い抜けるか

宇根夏樹ベースボール・ライター
アレックス・ロドリゲス(ニューヨーク・ヤンキース)FEB. 29, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

相変わらずのことながら、アレックス・ロドリゲス(ニューヨーク・ヤンキース)が話題を振り撒いている。3月22日、ニューヨーク・ポストでゴシップを扱うページ・シックスは「A-ROD(エー・ロッド)がグーグル創業者の前妻と付き合っている」と題したエミリー・スミスの記事を掲載した。相手のアン・ウォジェスキは、遺伝子検査を行う23andMeの共同創業者。彼女は昨年に離婚するまで、グーグルの共同創業者であるセルゲイ・ブリンと夫婦だった。A-RODは過去に、マドンナ、ケイト・ハドソン、キャメロン・ディアスとの交際が報じられたこともある。

さらに、ページ・シックスの記事が出た翌日には、ESPNのアンドルー・マーチャンドによる「アレックス・ロドリゲスは2017年のシーズンを最後に引退すると言っている」という記事が飛び出した。A-RODはマーチャンドに「来シーズン後はプレーしないつもりだ。もう十分に楽しんだ。家に帰って父親になる頃合さ」と語ったという。A-RODがヤンキースと交わしている10年2億7500万ドルの契約は、2017年で終了する。

A-RODはこれまでに687本塁打を放っており、2012年にはケン・グリフィーJr.(630本)を超え、昨シーズンはウィリー・メイズ(660本)を追い抜いた。A-RODの上には、ベーブ・ルース(714本)、ハンク・アーロン(755本)、バリー・ボンズ(762本)の3人しかいない。A-RODがルースと肩を並べ、さらに超えていく可能性はかなり高そうだ。昨シーズン、A-RODは7月27日に打った40歳のバースデー・アーチを含め、33本塁打を記録した。ルースまではあと27本塁打。残り2シーズンに平均14本塁打を打てば上回る。

だが、アーロンとボンズに追いつくのは容易なことではない。それぞれ、あと68本塁打と75本塁打が必要で、シーズン平均にすれば34本と37.5本だ。2009年以降に限ると、A-RODの本塁打は昨シーズンの33本が最も多い。加えて、40歳以上で開幕を迎えてシーズン30本塁打を放った選手は一人もいない。最多はテッド・ウィリアムズ(1960年)とラウル・イバニエス(2013年)の29本塁打だ。41歳で開幕したウィリアムズは、この年限りでバットを置いた。開幕時に40歳だったイバニエスは翌シーズンもプレーしたが、5本塁打に終わった。

A-RODは歴代3位の通算本塁打でユニフォームを脱ぐことになるだろう。ステロイドの使用歴があるため、ボンズと同じように殿堂入りは難しいと思われる。ただ、ステロイドだけで輝かしいキャリアを築いてきたわけではない(それだけに、ステロイドに手を出したことが惜しまれる)。「300-300(300本塁打&300盗塁)」を達成したのはボンズ親子ら8人しかおらず、そのなかで3000安打以上を打っているのはメイズとA-RODだけだ。また、8人のうち7人は外野手で、内野手はA-RODしかいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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