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2016MLB開幕! ポストシーズンにまつわる3つのジンクスは今年も続くのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
マディソン・バムガーナー(ジャイアンツ)OCTOBER 31, 2014(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

現在のメジャーリーグには、ポストシーズンにまつわる3つのジンクスが存在する。それらは今年も続くのだろうか。もしそうであれば、シアトル・マリナーズは15年ぶりのポストシーズン進出を果たすことになる。

■ジンクス1:ア・リーグ東地区はレイズが地区優勝する順番

ここ4年のア・リーグ東地区は、地区優勝チームがすべて異なっている。ニューヨーク・ヤンキースが2012年に2連覇を果たした後、ボストン・レッドソックス(2013年)、ボルティモア・オリオールズ(2014年)、トロント・ブルージェイズ(2015年)と入れ替わってきた。この法則が続くのであれば、2016年はタンパベイ・レイズの番だ(1つの地区には5チームが属している)。

レイズの打線は貧弱ながら、先発投手陣には、開幕戦で5回を投げて12三振を奪ったクリス・アーチャーをはじめ、才能ある若手が揃う。ジンクスを現実とする可能性はあるはずだ。

■ジンクス2:最もポストシーズンから遠ざかるチームの称号が受け継がれる

2014年はカンザスシティ・ロイヤルズがワイルドカードを得て、2015年はトロント・ブルージェイズが地区優勝を飾った。ロイヤルズは1985年以来29年ぶり、ブルージェイズは1993年以来22年ぶりのポストシーズン進出で、どちらもその年の開幕時点では「最もポストシーズンから遠ざかっているチーム」だった。この不名誉な称号は、ロイヤルズからブルージェイズ、そして、現在はシアトル・マリナーズへ受け継がれている。過去2年の両チームと同じように、マリナーズも2001年以来15年ぶりにポストシーズンへ駒を進め、次のチームへ称号を譲り渡せるのだろうか。

マリナーズはこのオフ、チームの核を成す4人、フェリックス・ヘルナンデス、ロビンソン・カノー、カイル・シーガー、ネルソン・クルーズはそのままに、精力的な補強を敢行し、彼らの脇を固めた。青木宣親らの加入で出塁率が上がり、それに伴って得点は増えるはずだ。ロサンゼルス・ドジャース行きが目前だった岩隈久志を呼び戻せたことも大きい。地区優勝の筆頭候補とまではいかなくとも、ポストシーズン進出を狙える陣容になっている。

ただ、マリナーズには、ロイヤルズとブルージェイズと違う点がある。両チームとも、ポストシーズンから遠ざかる直前にワールドシリーズで優勝しているのに対し、マリナーズは一度もワールドシリーズを経験していない。ちなみに、現時点では、2003年にワイルドカードからワールドチャンピオンまで登り詰めたマイアミ・マーリンズ(当時フロリダ・マーリンズ)が、マリナーズに次いで長くポストシーズンから遠ざかっている。

■ジンクス3:偶数年はジャイアンツがワールドチャンピオンに輝く

過去6年のうち、2010年と2012年、2014年はサンフランシスコ・ジャイアンツがワールドシリーズを制している。偶数年の法則は今年も続くのだろうか。

ナ・リーグ西地区では、ロサンゼルス・ドジャースが3年続けて地区優勝していて、アリゾナ・ダイヤモンドバックスはこのオフ、ドジャースとジャイアンツの鼻先からザック・グレインキーをさらっただけでなく、シェルビー・ミラーも手に入れ、一気に先発投手陣に二枚看板を作り上げた。ポール・ゴールドシュミットを中心とするダイヤモンドバックスの打線は、もともと強力だ。

もっとも、ジャイアンツもエース級の2人、ジョニー・クエイトとジェフ・サマージャを加え、青木宣親に代わるリードオフにはデナード・スパンを迎え入れた。投打の柱には、過去3度のワールドシリーズ優勝を経験しているマディソン・バムガーナーとバスター・ポージーが健在だ。法則を続ける態勢は整っている。なお、ジャイアンツは頂点に立った翌年に、3度ともワールドチャンピオンを逃しているどころか、ポストシーズンにすら進出できていない(2009年もそうだ)。それだけに、この法則は、偶数年だけでなく奇数年も含めた1年おきの繰り返しとして、いっそう際立っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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