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NBAがユニフォームに広告を導入。MLBもそうなっていくのか。いや、勘弁してほしい

宇根夏樹ベースボール・ライター
イチロー(2012年・日本開幕戦)MARCH 28, 2012(写真:ロイター/アフロ)

NBAのユニフォームに広告を入れることが、オーナー投票によって承認された。2017-18年から3シーズンにわたって試験的に導入される(きっと、そのまま継続されるだろう)。位置は左胸、サイズは2.5×2.5インチ(6.35×6.35cm)。また、昨年すでに発表されているように、右胸には、2017-18年からユニフォームを供給するナイキのロゴが入る。どちらも、今まではなかったものだ(今年のオールスター・ゲームで着用したユニフォームには、右胸にアディダス、左胸に起亜自動車のロゴが入っていた)。

MLBのユニフォームにも、さまざまな企業や商品の広告が入る時代が来るのだろうか。現在は、ユニフォームを供給するマジェスティック社のロゴがジャージの左袖とパンツの左腰にあるが、それ以外の広告は存在しない。

MLBもビジネス――それも巨大な――である以上、そうなる可能性は否定できない。日本で開幕シリーズを行った時は、広告付きユニフォーム(写真)を着てプレーしている。日米野球もそうだ。現在の日本プロ野球については言うまでもない。ただ、それらをカッコいいと思う人がいらっしゃるなら、ベースボールのユニフォームについての感覚が、私とはまったく異なる。

サンフランシスコ・ジャイアンツのオーナー・グループの一人であるラリー・ベアーCEOは、2014年に地元ラジオ局KNBRで「そうなると思う」と広告付きユニフォームに前向きな発言をしている。NBAのコミッショナーは、2014年にデビッド・スターンからアダム・シルバーに交代した。MLBでは2015年から、バド・シーリグに代わってロブ・マンフレッドがコミッショナーを務めている。

マンフレッドは就任直後、ニューヨーク・タイムズのタイラー・ケプナーに「我々がユニフォームの見た目をどうしているかについては、人々から高く評価されていると思う」と語り、ユニフォームに広告を入れるつもりがないことを明かしている。だが、ビッグ4(北米4大スポーツ)の一角が崩れた今、危機感を抱かずにはいられない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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