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両投げ投手のボブルヘッド人形はやっぱりユニーク。さらに、ドラフトで指名されたのは両投げ投手ならぬ…

宇根夏樹ベースボール・ライター
パット・ベンディティー(トロント・ブルージェイズ)Apr 13, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

「死ぬまでにやりたいことのリストが少し短くなった」

トロント・ブルージェイズのパット・ベンディティー(あるいはパット・ベンディット)はこうツイートした。8月19日、ショート・シーズンAのスタテンアイランド・ヤンキースは先着2500名にベンディティーの人形を配布する。ベンディティーは2008年6月19日に、このチームからプロ・デビューした。

人形は普通のボブルヘッドではない。踏み出しているのは左足だが、同時に2つのボールを投げようとしていて、左右とも、ユニフォームの袖とその先の腕がバネでつながっている。両腕がゆらゆら揺れる「ボブルアームズ」だ。

実は、過去にもボブルアームズはあった。カンザスシティ・ロイヤルズのAAA、オマハ・ストームチェイサーズが2013年5月18日に配った人形がそうだ。この人形は「パイン・タール事件」の一場面を再現していて、激昂するジョージ・ブレットの振り上げた両腕が揺れるようになっている。

1983年7月24日、ロイヤルズのブレットは1点ビハインドの9回表2死から逆転ホームランを打った。だが、ニューヨーク・ヤンキースのビリー・マーティン監督が、バットに塗ってある滑り止めのパイン・タール(松脂)がグリップエンドから18インチの規定を超えていると指摘。審判はバットを調べ、試合終了のアウトを宣告した。

当然ながら、ブレットは怒り狂った。提訴の結果、ホームランが認められて試合が再開し、ロイヤルズがそのまま逃げきったのは後日のことだ。

また、今年6月には、ベンディティーとは異なるタイプの両投げ選手がドラフトにかかった。ニューヨーク・メッツが20巡目・全体610位で指名したカルロス・コルテズは「両投げ野手」だ。にわかには信じ難いので映像を確認したところ、確かに、二塁の守備では右腕で送球し、レフトからは左腕で返球している。

ただ、コルテズは指名の直前に「サウス・カロライナ大でキャリアをスタートさせるのが待ちきれない!」とツイートしている。メッツには入団せず、大学へ進むようだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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