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DVと解雇を経て、レイエスがかつてライトと三遊間コンビを組んだメッツへ。ただし2人の再結成は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
デビッド・ライト(左)とホゼ・レイエス Sep 22, 2008(写真:ロイター/アフロ)

6月25日、ホゼ・レイエスがニューヨーク・メッツとマイナーリーグ契約を交わした。1~2週間後にはメジャーリーグへ昇格し、5年ぶりにメッツのユニフォームを着て、フィールドに立つことになるだろう。

自身のインスタグラムにデビッド・ライトとの2ショット写真をアップしたように、レイエスはかつてメッツの遊撃を守り、2005~11年の7年間、ともに生え抜きのライトと三遊間コンビを組んだ(ライトは現在もメッツにいる)。この間、レイエスのオールスター・ゲーム選出は4度、ライトは5度。レイエスは盗塁王を3度獲得し、リーグ最多三塁打も4度記録した。このスパンの338盗塁はホアン・ピエール(344盗塁)に次ぎ、三塁打93本は2位のカール・クロフォード(78本)を15本も引き離す。2011年には球団史上初の首位打者も獲得した。

そのオフにFAとなったレイエスは、6年1億600万ドルでマイアミ・マーリンズへ。1年後にトロント・ブルージェイズへ放出され、昨夏はトロイ・トゥロウィツキらと交換にコロラド・ロッキーズへ移った。そして、6月23日に解雇された。

今シーズン、レイエスはメジャーリーグの試合に出場していない。昨年10月に妻に暴力を振るい、起訴には至らなかったものの、5月末まで出場停止を科されていた。6月からはAAAでリハビリ出場していたが、代わって遊撃を守るトレバー・ストーリーが台頭したことで、ロッキーズはすでにレイエスを必要としなくなっていた。

レイエスは今でも、ニューヨークでは人気者だ。6月26日にブルックリン・サイクロンズ(メッツ傘下のA-)のホームゲームに出場したレイエスは、観客から喝采で迎えられた。この試合で、レイエスはメッツ時代と同じ――他3チームでもそうだった――背番号「7」のユニフォームを着て、当時と同じリードオフとして打席に入った。

だが、ポジションは遊撃ではなく、三塁を守った。メッツの遊撃にはアズドゥルバル・カブレラがいる。レイエスはユーティリティとして起用されることになりそうだ。内野のみならず、外野の可能性もある。また、背番号「7」にしても、現在はトラビス・ダーノウが使用している。

メッツがレイエスに期待するのは、リードオフとしての働きだろう。メッツの1番打者は出塁率がリーグ・ワースト3位の.322と低く、なかでも、主に1番を打つカーティス・グランダーソンは、13本塁打を放っているものの、出塁率は.315に過ぎない。

ただ、その期待もさほど大きなものではなく、むしろ、かつてチームで活躍した選手にセカンド・チャンスを与える意味合いが強いような気がする。しかも、マイナーリーグ契約なので、メッツにとってはローリスクであり、うまくいけばハイリターンとなる。

三遊間コンビのもう一人、ライトも今は三塁にいない。6月16日に頸椎の手術を受け、そのままシーズン終了となりそうな雲行きだ。ライトは昨シーズン、脊椎の故障で38試合(とポストシーズン14試合)にしか出られなかった。今シーズンの出場は37試合だ。

レイエスとライトが三遊間コンビを再結成する日は、残念ながら、もう訪れないのかもしれない。レイエスが6月11日に33歳となったのよりも早く、ライトは昨年12月に33歳を迎えた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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